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詠金魚
2017年3月29日 08:51
どちらから来ましたか。「あの山のむこうに在る田の畔です。」そうこたえたのは土筆だったか、蓮華だったか。風のすきなひとだった。花摘の横顔は、老婆とも少女とも年輪と瑞々しい頃を併せ持つ。あの山のむこうに在る田の畔を知り。あの山のこちらを吹いている。
2017年3月12日 06:23
月はまるくないほうがいい。つるんと盗まれてしまわぬよう空に引っ掛かけておく。明日も会えるといい。月がまるくなってしまう日は少し怖くなる。不知夜に待つキボウ。
2017年3月9日 18:35
浮氷に咲く花の不沙汰に問ふこと勿れ思ひ連ねて割いたまで色は匂へど散りぬるを然うして浮氷に至ります
2017年3月2日 10:51
愛は主観と思ふ。すれ違うだけのようにみえて、それは行きかふこと。辻に留まる流動はなく、だれも競争者ではない。能動のはじまりとおわりにあるもの。愛は主観と思ふ。
2017年3月1日 09:20
怒濤に無みするものあり。のちに漣に果無むものあり。僥倖の先にあるもの。奇禍の先にあるもの。しとねの端に寄せては返す波のようなもの。一蓮托生、波は還るもの。それならばと白波も仰向く。