熱をあげてます

先日
とうとうコロナウィルスに敗北し、突如の6日間の休養期間で家に引きこもった

……よっっっっっっしゃああぁぁ!!!

昨年より会社の雇用体制の変化に伴い短時間パートからフルパートタイマーに変わった。
正直に言えば、人手の減った私の部では今やフルでなければ全く仕事が追いつかない状況だったので、いわゆるサービス残業でこなしていることもあった。それまでも会社はいつでもフルパートに転向することを認めてくれていたものの、私ともう1人の短時間パートの同僚 Mさんはその道を選ぶことに気が進まずにいた。
というのも、高圧的な副部長と顔を合わす時間を少しでも減らしていたかったのだ。

10年前副部長は別の支店から移ってきた。
頭が良く規律を正しく理解し守り、組織をまとめ進める力に長けた人だ。だがそれゆえの人より見えすぎる部分に周りが苦しみ始めた。
誰とは言わないが能力と賃金が見合わない者が沢山いて怠慢な風潮を変えなければとか、常に誰かを見張っていて過去に失敗したことをいまでもしてるとか、副部長の正義の主張は、確かに正す為には必要な意見だが人の上に立つ為に必要な心の配慮、言葉選びに欠けている面や自分本位な行動も多く、副部長から見た未熟な者の集まりの職場には不穏な空気が漂うようになった。

改革者はドラマで見ていると痛快で、ぐうたらな怠慢社員共によくぞ言った!と気持ちの良いものだが、所詮私などは「怠慢社員」側、言われる者としては悔しいが悟りを開くまでは苦痛しかないのだ。

そういう情けない理由でお金よりも心の安寧を優先していたが、とうとう期限も来てフルパート転向となったのだ。

数日前旦那さんは咳き込み始め、前日には熱がではじめた。
二年前に罹患済みの旦那は「……この感じ、コロナだ!!!」と、ノドの腫れ具合と乾いた咳が苦しんだあの日を思い出させたのか「間違いない」と確信していた。
9月に向けて仕事が忙しくなる今の私は伝染るわけにはいかないと のど飴をなめたり、丹田に気を集中させウイルスを煮沸する瞑想をしたりと、私なりの民間療法を駆使し用心していたが、熱帯夜に気だるく起きた朝、この先間違いなく腫れ上がる予兆の喉の痛みと共に発熱していた。

大事な会議の日だったが発熱してしまったらもうどうしようもないので観念して会社を休んだ。

実は私は熱を測るかどうかを迷っていた。

気だるいのは熱帯夜のせいかもしれない。そもそも発熱など滅多にしないんだ。
私に発表の場が決まっていた今日の会議を欠席出来ないプレッシャーもある。しかし昨日は一日のど飴で誤魔化していたものの、くしゃみは止められずグズグズとさせていたのは社内では知られてしまっている。もちろん副部長にも。ただ、今やのど飴レベルでは咳を封じ込められる気がしないのに会議に出席するのは責任感ではなく危機管理能力の欠如だときっと副部長なら非難するだろう。
どうしたらいいんだろうと追い詰めていたが、会議の打ち合わせは事前に出来ており、資料も渡し済み、発表するのは何も私じゃあなくても出来るじゃん!と、冷静になれたのだ。
熱は37.8度あり素直に会社に欠席の連絡をした。

そうなったら途端コロナ罹患モードに切り替わった。まだ判定は下されていないが。
不謹慎だが陽性なら発熱した日から5日間の大義名分の自宅休養期間がいただけるのだ。


休みてぇぇえええ

絶っっっっ対に勝ち取ってやる!!


熱が出て半日ほどしてからのが正しい判定結果になるらしい
私の熱が出始めたのは朝からなので、いくら早く判定が欲しくても病院一番乗りで行く必要は無い。だがのんびり午後に電話をしていたら、本日の発熱外来の受付はもういっぱいです明日のお越しをなんて言われてしまえばまた明日も休むことになり なにやってんだウスノロと副部長に私のいない所で言い散らかされることだけは避けたいので早速電話で予約だけはしておこう。

最高の状態で判定をもらわねばならない。落ち度があれば休養期間ライフにも復帰後の出社にも、大きく影響してしまうのだから。

周りにも罹患者は増えており、経験者の旦那はコロナで間違いないと言っているのだから確率は相当高いが、だからといって私に判定がどう下るかは分からないのだ。

また、コロナに認定され、長期休暇が手に入ればそれでOKかと言えばそうではない。
早期の回復。これが最重要課題なのだ。


その昔
祖父がこんなことをよく言っていた
「熱が出るのは、身体が中に入ってきた悪いものと戦っている証拠だ。」とか
「少し熱が出たからと言って何でもかんでも解熱剤で下げようとする必要は無い」とか
「今 身体が 休みましょうよ とやっと声を上げてくれたんだと素直に受け取って遠慮なく休めばいいんだ」と言っていた
ふーんと聞いていたがこのイズムは私にも刷り込まれている
もちろん苦しくて仕方ない時は遠慮なく服用させていただくし、子供に強要はしない
今体温が38.9度と過去に一度あったかどうかの高熱に達しているということは、私の身体がどんどん来たるウイルス達に落城させまいとフル回転で よく知らないしどこにあるか分からない丹田から免疫兵を送り込み、必死の攻防を繰り広げている真っ最中なのだろう

やられたらやり返す 倍返しだ!!
人には負けてしまうのに
ウイルスには絶対に負けたくない

私が今できることは 応援すること だけだ
細胞達が全エネルギーをウイルス排出のためだけに注ぎ込めるように私は応援の意識を へその奥の身体の中心に集中させる。
身体がだるくなるのではと覚悟していたがむしろ覚醒している。
丹田に元気玉が溢れてきている
さっきバナナを食べたのにまたおなかがぐうと鳴り出したのはその証だろう
スーパーサイヤ人の自分がいる。
ワクワクすっぜ。

早期回復に向けて丹田煮沸療法に全精力を傾けているが気をつけないとコロナウィルスを撲滅しすぎてはいけない。夕刻の検査時には陽性反応が出るだけの猶予を与えておかねばならないのだ。この塩梅は難しい。

そう、心配なのだ。

過去に一家がコロナ騒動に飲み込まれた時も、子供達が何度となくインフルエンザにかかった時も私だけは陰性を貫いていた。かといって元気なわけではなく、熱が出ないだけで出そうな身体の攻防は感じていて、なんなら、息を吸うと喉あたりにウイルスを察知する感覚すらあった。私なりに戦っているのだ。
それは母として倒れるわけにはいかないと言うよりは、多分その方が損する!という母性そっちのけの自己防衛で丹田煮沸方を自ら編み出し未然に退治しているのだ。

さて今回は?

同居人は旦那と息子。旦那は既に倒れていて、息子は自由なもう夏休みの大学生、自分で食べることくらい出来る。仕事も、追われる時期だがこの会議以降は絶対休めない日は無い、むしろ今がベストタイミング。
フルパートになった今これまでのように休めなかったので心身が悲鳴をあげていた。
きっと私のズルい損得勘定で熱が遠慮なく出てきたのだろう。身体は恐ろしく正直だ。

熱は出たものの私だけ軽い熱中症かもしれないし何でも無いかもしれない。最悪なのは旦那だけ陽性で私は陰性なんてオチ。だけは絶対にあってはならない!!

あんなに拒絶していた感染症罹患も休養のご褒美を吊り下げられた私はいとも簡単に手のひらを返してしまう。時代劇を見て寝返る戦国武将達を私が非難する資格は無い。

ウイルスをコントロールした(?)私は見事陽性を勝ち取った。処方された風邪薬がよく効き酷くならずに回復出来たが思い描いていたように身体は動かず結局寝てばかりいたので、40代後半の身体がウイルスに侵されるのはリスクが大きいのだと実感した。
自分はこの程度で済んだが他に人にどう作用するかは私には分からないので感染を拡げない事が大事なのに私は自分のためだけに判断を誤りそうになる。仕事を休む事は簡単ではない。どう判断するかと迷うので基準が設けられている。もし副部長からのプレッシャーがなければ私は判断を間違えていただろう

その後
副部長は家族がコロナにかかり大事をとって欠勤した。数日様子をみて出勤すればいいと上司は配慮した。明けて出勤した副部長は「大事な時期なのに、上に言われたから休んだだけだ。」と言った。


今後も私は コロナに喜んで敗北するのだろうな

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