キャラメルボックスとはなにか

キャラメルボックス・アクターズプロデュース2022ハーフタイムシアター二本立て
「ミス・ダンデライオン」
「水平線の歩き方」

昨日初日の幕が開きました。

今回の稽古期間は約18日間。

一般的な稽古は約30日間。
120〜130時間程度ですから、比べると短いですね。

上演時間が1時間の作品を作っているのですから、稽古時間も短くて当たり前っちゃー当たり前ですが、「演劇の稽古長すぎる問題」を提唱しているわたしとしては、どんとこいといった感じでした。



ここ数年、要所要所で「キャラメルボックスとはなんだろう」ということを考えることがあります。

3年くらい前。
劇団の活動休止に関して、たくさん話し合いをしてたとき。
成井さんが「このまま続けていくのは難しい」と端を発し、その後「成井さんがいなくても活動は続けられないか」という意見が出たりして、「ん?それってキャラメルボックスなの?」と思ったりしました。

成井さん不在でも、成井さんの作品を劇団員がやればキャラメルボックスとして見てもらえるのだろうか。

成井さん演出で、成井さんの作品でも、出演者が劇団員でなかったら、どうか。

キャラメルボックスをキャラメルボックスたらしめている要素はなんなんだろう。

そんなことを考えました。

今回のアクターズプロデュース。

同期の阿部丈二から企画意図を説明されて、出演オファーをもらったとき、わたしは少し懐疑的でした。

ひとつは、活動再開後、無理なく運営をしていくと約束したのに、丈二自身が無理をしようとしているのではないか。

もうひとつは、成井さんが演出として関われないのであれば、「キャラメルボックスの公演」として成立しないのではないか。

けれども丈二の覚悟は相当だったし、熱い気持ちも伝わったし、なにより同期として20年近くの付き合いになる彼の助けになりたい一心で、今回の公演に参加することに決めました。

キャラメルボックスは演劇界のひとつのジャンルであると思っています。
35年余りの活動で、その作風から、「王道」なんて言われたりして、その「王道」さを、ひねくれ者の多い演劇人に揶揄される時代もありました。

わたしも若かりしころ、充分にひねくれていたので、その感じはよく分かるのです。

だけど、昔、古田新太さんと成井さんの対談記事で古田さんが「王道が存在しなければ邪道が存在できない」と仰ってくれたのが忘れられなくて、「王道」を走る誇りを劇団員の端くれだったにも関わらず、偉そうにも感じたのを覚えています。

今回の稽古でわたしは、「キャラメルボックスを作るぞ」という気持ちで稽古していました。新しいもの、オリジナリティは、後から乗せる。まずはキャラメルボックスという土台を作らなきゃと。

演出の石川さんや、白坂さん、それから劇団員たちが何を考えて稽古していたか、厳密には分かりません。

ただわたしが参加する「ミス・ダンデライオン」チームのみんなは意識していたか、無意識なのかは分からないけど、「キャラメルボックス」を作ろうとしている感じを感じて、心地良く稽古ができました。

これこそが、キャラメルボックス劇団員で作る、最大の強みであるな、と思いました。

キャラメルボックスの作品は、キャラメルボックスの劇団員である我々がいちばんよく知っていて、いちばんよく体現できる。

そうでなければならないのです。

それさえできれば、それでもう「キャラメルボックス」なのだ、と。

そんなことを感じた、稽古と初日でした。

てなわけで、キャラメルボックスの劇団員が、キャラメルボックスの作品を、いちばん美味しいと思う状態でお届けしています。

これからご覧になる皆さん、楽しみにしていて下さいね。


とか、偉そうに言っちゃったけど。

実は成井さんは通し稽古に来られなくて、まだこの作品を見ていないのです。
いずこかの本番に見に来る予定です。そこで

「なんだこれは!こんなのキャラメルボックスじゃない!」

という可能性も微レ存です。

怖い。

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