なまえのはなし

わたしの名刺には「金髪りさ」という名前が書かれている。
もちろん本名ではない。

名刺を刷るとき、このふざけた名前にするか違う名前にするか、少し迷った。
「金髪で良いんじゃない」と上司は笑ってくれて、わたしは「金髪りさ」を選ぶことにした。まぁ上司はどーでもよかっただけだと思うけど。

机にドドンッと置かれた山積みの名刺たちは名前に反してご立派で「やっちまったな」って呆れるやらおもしろいやら、どこにもぶつけられないむず痒さを感じた。それは後悔からはほど遠い感覚だった。


「名前変えないの?」「仕事やり辛くない?」
その言葉は”質問”ではなく”皮肉”だ。
わたしは「変えません」と答えた。
なぜなら体裁を整えるために名前を変えたところで、わたし自身の考えやセンスが変わることはないからだ。
名付けたのはわたしだし、選んだのもわたし、全てわたしの許可をとった。
「金髪りさ」の名前をおもしろがれない人とは悲しいかな、相容れないとわたしは思うのだ。
名前で察してくれれば、いろいろと話も早いだろう。

そもそもタレントやライターは芸名やペンネーム、本名でないと明らかに分かる名前を使っている人もいるのに、出版社の名刺にそんな名前を刷るのは常識がなっていないとされるのだろうか?成果をあげれば名前もクソもないだろうにと思う。あ、わたしが成果をあげれるかは置いとくとして……。(もちろんスムーズに仕事を進行できるようにとのアドバイス、親切心も含まれていることも分かっているけれど。)

スムーズに生きることを選ぶより、めんどくさい自分に合わせる方がわたしには生きやすい。


しかし、忘れないでほしい。
頭皮のために名前を変える可能性はある。
ブリーチは痛くて値段が高いのだ。


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