ニラたろう
「なんだこのタイトル」という今回の記事ですが、子育てのお話です。
6歳の息子が、小学校入学から1ヶ月ほど経った5月の出来事。
毎晩、お茶を1杯飲み、トイレに行き、布団に入って寝るというお決まりのルーティーンだった息子。
ある日を境に、布団に入ってから寝るまで間に4〜5回トイレに行くようになりました。
数日様子を見ていたのですが、相変わらずトイレに行きたがる息子。
さすがに「おかしい」と感じ調べてみると、息子とよく似た症状を見つけました。
【心因性頻尿】
精神的不安や葛藤なとが主因となって生じる頻尿。
小学校入学から1ヶ月ほどだったこともあり、学校生活での不安が頻尿に繋がっているのではないかと考えました。
お風呂の中、夕食時、寝る前、息子との会話の中で学校生活での不安を抱えていないか、自然と聞き出そうと頑張ってみました。
しかし、息子の表情や言葉、声のトーンを聞いてみても、また、毎朝登校する様子を注意深く見守っていても、学校生活への不安が感じられる場面は見受けられませんでした。
何か他に原因があるかもしれないと思い、普段の生活で気になる点がないか確認してみたものの、思い当たる節はありませんでした。
その日の夜もトイレに行こうとする息子。
「おしっこが出そう」と言ってトイレに行くものの、ほんの少し出るか出ないか程度のおしっこ。
布団に戻った後、息子を抱き寄せトントンしながら優しく言ってみた。
「おしっこちょっとしか出ないから、トイレ行かなくても大丈夫じゃないかな〜?」と。
口調は優しいものの、ストレートに問いかけてみた。
すると息子がこう言ったのです。
「でもおしっこ漏れたらイヤだなぁって思っちゃう…」と。
それを聞いた瞬間に、僕はハッとしました。
息子に頻尿の症状が現れる少し前、息子がおねしょをした日があったことを思い出したのです。
夜中寝ていると、息子に起こされました。
「お父ちゃん、おしっこ漏れちゃった…」と。
息子をお風呂場に連れて行き、シャワーで流し、新しいパンツとズボンを履かせ、濡れたパンツとズボンは手洗いして洗濯機へ。
あ…
その時の僕、どんな顔をしていただろうか…
眠そうに、迷惑そうに、うんざりした顔や態度で接してしまっていたに違いない。
おねしょしちゃった本人が1番イヤだったはずなのに、、
それに加えて"お父ちゃんにもイヤな思いをさせちゃった…"と感じさせてしまっていたら、、
《おねしょしちゃいけない》というプレッシャーと戦っていた息子。
いや、戦わせてしまっていた僕。
あの日の夜中の僕の接し方が、息子に負担をかけていたに違いない、、
僕は自分が情けなく、不甲斐なく、心の底から反省しました。
そして、優しく息子に伝えました。
「おねしょしてもいいんだよ?お父ちゃんも小学生の頃たくさんおねしょしたよ。漏れたらお父ちゃんがキレイにしてあげるし、夜中にトイレ行きたくなったらついて行ってあげるからね。」
息子は安心した表情に変わり、そのまま眠りにつきました。
次の日の夜、布団に入る前に再度「おねしょしてもいいんだよ」という話をしました。
布団に入った後は、息子の気を尿意から逸らすためにオリジナルの昔話を聞かせました。
【ニラたろう】
昔々あるところに、お爺さんとお婆さんがいました。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。
お爺さんが山で芝を刈っていると、なんだかお腹が痛くなってきました。お爺さんは近くの川にお尻をちょこんと付け、ブリブリブリッとうんちをしました。うんちには、夜ご飯で食べたニラ玉スープのニラがそのまま出てきていました。
お婆さんが川で洗濯をしていると、川上の方からニラがどんぶらこどんぶらこ…
(中略)
めでたしめでたし。
という、創作昔話「ニラたろう」を聞かせました。
終始ゲラゲラ笑っていた息子は、笑い疲れたようで一言だけ言い残しそのまま眠りにつきました。
「お父ちゃん、明日はニラ島太郎ね!」
翌朝、目が覚めた息子に言いました。
「昨日お布団入ってからトイレ行かなかったけど、おしっこ大丈夫だったね!」と。
息子は嬉しそうに「うん!!」と答えました。
その表情は、とても自身に満ち溢れていました。
その日を境に息子の頻尿はピタッと無くなり、僕の昔話のストックは大幅に増えました。
子どもの感受性の豊かさ、繊細さ、そういったものを再認識し、それと同時に父親としての自分の未熟さを痛感した出来事でした。
子ども達への接し方について、今一度見直すきっかけになりましたとさ。
めでたしめでたし。
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