再会

中学の時、理科の先生が好きだった。好きというか、憧れていた。理由はまぁ色々あったんだろうけど、結局のところ、その人の授業が私に合ってて、その科目が好きな科目になったから、上手にモノを教えられて、それで人を変えられるってすごいなっていうのが一番大きな理由だったんだと思う。今となっては。

色々あって、私も今同じ職についてる。

それで、先日、その人と、中学1、2年の時の担任と、あと同級生で教員になった人とご飯を食べに行った。

元担任は、体育の先生で、当時この先生を苦手にしている同級生も多かったけれど(そしてその理由も一理あるというかそりゃあ嫌いにもなるよねって納得できるんだけれど)、少なくとも私は、元担任のことも嫌いではなくて、あっさりとしたモノの考え方はむしろ好きだった。
元担任はよく飲み、よく話してくれた。基本的に元担任の話は簡潔明瞭で、結構面白いから、よく笑った。私がこの職に就いてから感じていたおかしいんじゃないの?って思うことを変えようとしていて、私の感覚っておかしくないんだなって救われた場面もあった。そして、当時の指導は間違っていた、それは君たちに申し訳なかったとはっきり言葉にしていて、あぁ元担任は正直な人なんだなと思った。でも、大人になり、教員となった今、当時の元担任を振り返ると、まだ若かったあの時はあの指導しかできなかったんだろうなと、教え子が偉そうだけど思う。

で、あの人はというと、元担任の話に突っ込んだり、時に行きすぎた話を静止したりしながら、静かに話を聞いていた。2人はほぼ同期で、当時のあの学年の職員は、2人以外は結構年が離れていたから、そこそこ仲良しだったんだろうなと思う(それも今教員になったからわかること)。その2人の関係が、もう生徒じゃなくなった今はっきり見えて、なかなか面白かった。
担任が自分の話をたくさんしてくれる一方で、あの人は全然自分の話をしない。結局ゆっくり話せたのは、あの人が車に乗せてくれて送ってくれた時だ。

ぽつりぽつりと、お互いのことを話した。
今の学校はどうなのか、とか。この行事が負担が大きいとか、理科の授業の話とか、ほぼ私の愚痴を聞いてもらったようなものだけど、あの人は笑いつつ、結構的確に答えをくれた。

昔、あんなことがあった、こんなことがあった、あのクラスの合唱が好きだった、そんな思い出話もして、そしてあの人は意外にかなり当時のことを覚えていてびっくりした。

なんで教員になったの?と聞かれた時、私は、先生に憧れたからとは言えなくて、わからない、なんか流れに乗っていたらいつのまにかって可愛くない返しをしてしまった。そしたら、俺もそんなもんだよって笑っていた。

不思議だなぁ、もっと話したいことはいっぱいあるのに、なんで言葉が出てこないんだろうってもどかしかった。意識しないようにすればするほど、ぶっきらぼうになってしまう。 

沈黙があったあと、変なところ頑固なのは変わってないねって言われた。あぁそうそう、私かなり頑固なんです。よくわかってますね。

そんな感じで消化不良で終わってしまったけど、今度会う時はちゃんと、先生に憧れたからって言えるようになりたい。でも、大人になるとどんどん素直じゃなくなるから難しいかな。とにかく、次会うときまでお元気で。

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