見出し画像

今週のkinologue【8/2-8】

今週話題になったことの一つは「編み物」。編み物業界騒然!オリンピックで編み物が語られる日が来るとは。英メダリスト編み物男子が大人気!

「主婦の学校」ではもちろんだが、アイスランドでは男女共に小学校で編み物を学ぶ。以前、レイキャビクのホテルのロビーで編み物をしている男性を目の当たりにしたとき、ますますアイスランドが好きになった。
二つの台風やら地震やら40度超えやらと、最終日まで異常気象溢れる国でパラレルワールド全開だったオリンピックも今週で閉幕。閉会式で耳を疑ったのが『東京物語』のテーマ曲が流れていたこと。えー!東京行って死ぬ話だよね、、、小津もびっくりでしょ。東京とつけば何でもいいんかい。「東京は夜の7時」と同じレベルで使われたかと思うとオソロシイ。
そんな中でも水面下で色々動いた『〈主婦〉の学校』。東京以外の上映劇場も少しずつ決まってきたので、近日告知予定。ローカルも含めた立体的なプロモーションを実現させるべく、これから各所と調整していく。コロナ禍が続いていることを想定して、この映画の配給を決めたときからやりたかったことがある。しかし、スタッフ感染によるミニシアター休館のお知らせが続いていて、公開を迎える10月はどうなっているのか、不安は尽きない。

今週はとあるきっかけで、ミシェル・ゴンドリーについて考えていた。90年代、大注目だった数々のMVに始まり、そのキャリアの頂点の一つが『エターナル・サンシャイン』。その頃は宣伝会社にいて、この映画の宣伝依頼が来て試写を観たとき「絶対やらせてほしい!他に出さないでください」と滅多にしない懇願をしたほど、大感動だった。今でもBECKのこの曲が流れると泣きそうになる。

残念ながら来日プロモーションでゴンドリーに会うことは出来なかったが、2014年に現美でやった展覧会の時にサイン会で「パブリシストだったんだよー!」と本人に伝えられたのが嬉しい後日談だ。モバイルハウスで旅に出る『グッバイ・サマー』もすごく良かったけど、そういやあれから長編を撮っていない。IMDBを見ると、ここ数年は短編やテレビシリーズしかない。ある人が、自分が好きなゴンドリー作品は「このシーンのためだけにこの映画を作ったんだなと感じられる瑞々しさがあるもの」と熱く語っているのを聞いて、なんとも羨ましくなった。なんで最近は長編を撮らないのか?、というか撮れなくなったのか?興行的に失敗が続いてるのか?お金が集まらないのか?『エターナル〜』みたいに脚本家としっかりタッグを組めばいいのに、など色んな邪推で「瑞々しさ」を観ようとしない自分がいるからだ。夏休み前の学校最終日、ローカルバスに乗り込んでくるブロンクスの高校生たちを描いた "The We and the I" も大好きだったが、日本で公開するのは難しいよなぁという気持ちの方が先に立った(だいぶ後になって公開されたけれど)。いつの間にか、仕事目線でしか映画を観られなくなり、20年以上、この仕事をしてきて失ったものに気づかされる。華々しかった閉会式のパリからのLIVE中継を見て、何のストーリーもなかった東京をかるーく凌駕するだろうパリ・オリンピック開会式でゴンドリーが演出する夢を今日は見そう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?