君と昔の僕へ

この10日間、体中の水分が枯れるんじゃないかと思うくらい泣いた。体重も3キロ減った。
自分が生まれてきたことを呪い、自分の名前が嫌いになった。ぼろぼろで不安定で、心の置きどころがわからなくて、死にかけていた。

そんな僕が、泣きながら整理をして、やっと心を落ち着けることができた。

 僕は傍からみたら被虐待者なのかもしれない。それでも、僕しか知らないこともあるし、愛された記憶も、愛されていることも知っている。確かに、僕の家庭は歪だ。けれど、僕が被虐待者かどうかは、曖昧でいい。きっとすっぱりと二分できるものではない。
 ただ、求めていたものと、与えられていたものが違ったのだ。父の愛情の注ぎ方が、僕の欲しかったものと根本的に、そして致命的に違う、ということに気づいた。

 以前、「条件付きじゃない愛情が欲しかった」と書いたが、昔から「いい子」だけをやってきた僕にとって、もし「いい子」でなければどうなっていたかはわからない。もしかしたら愛されていたのかもしれないし、愛されなかったかもしれない。
 しかし、そんなたらればを沢山考えたことで意味はない。

 前述の話に戻るが、僕が、僕なりに、考えて、考えて、考えて、考えて、やっと辿り着いたのは、「愛情の形が違う」というところだった。
 僕はただ、僕の「こころ」を大切にしてほしかった。父が心配したのは、くれたのは、物資や資格等の「かたち」のあるものだった。

 これではいくら愛情を注がれても、僕の「こころ」に溜まることはない。歪んだパズルのピースがはまらないように。だから僕は、いつだって不安で、ひとりぼっちな気がして、自分の求める愛情が欲しくて、必死だった。

 でももう、僕は大人になった。
確かに、生育環境のせいで、人との距離のはかり方や人間関係の構築が下手くそになってしまった部分は大きくある。
他人に心を許すことはほとんどない。他人に無理に合わせてしまう。嫌われることに尋常じゃないほどの恐怖を感じる。
 逆に、心を許した人にはたくさんの感情的な言葉を言ってしまったり、自分を傷つけ相手を不快にする行動をしてしまったりし、「それでも僕を見捨てないでいてくれる?」という無意識の問をしていた。

 そんなことを繰り返す中、何をしていても暗闇の中ひとりぼっちで、誰も助けられない、助けを求めても意味がないと、ずっと1人で膝を抱えて泣いていた。

きっと生育環境のせいでついたその癖は、すぐには治らないものだと思う。けれど、気づけたからこそ、治せていける。
僕が欲しかった形の愛情も、家族じゃなくてもくれる人がいる。

そして、僕が僕の人生において、心を擦り減らし、壊してまですることはひとつとしてないのだ、ということにやっと気づけた。家族を大切にする方法は、帰省する以外にもある。
僕は、家族と心理的距離を置き、心がまあるくなるまで、自分を労ってあげようとおもう。

 そして、これらに気づかせてくれたのは、他でもない、今まで僕の「こころ」を大切にしてくれた人たちのおかげである。
 君がいてくれたから、不安定でぐらぐらでしんじゃいたくても、何とか今まで生きていられた。家族と距離を置くという選択をとることができた。心から、ありがとう。

大切な人を大切にするために。僕が僕の人生を生きられるために。「自分を大切にしてあげること」が一番大切なのだとわかった。
24年生きてきて、やっと気づけた。けれど、ハッピーエンドを目指すことに遅いことなんてあるわけがない。

今まで僕を愛してくれた君。僕のこれから「しあわせ」を願ってくれた君。今もそばにいるよと言ってくれる君。これからもそばにいるよと言ってくれる君。

僕のためにも、そして僕を大切に想ってくれる君のためにも、僕は光の方へ進んでいく。
哀しい気持ちも、苦しい気持ちも沢山あるけれど、第一の人生が終わったのだ。哀しくて当たり前だ。
僕は、第二の人生を生きていく。

 今まで愛してくれた君。心からありがとう。そのおかげで、僕は第一の人生でかけがえのない思い出をもらえた。ぼくはそれを、心の中でキラキラ光る小さな虹の欠片のようだと思う。僕はそれを大切に大切にしながら、第二の人生を歩んでいく。

さようなら、昔の僕。沢山偉かったね。さようなら。胸が軋んで痛くても、僕は光へ歩くことをやめない。

今まで僕の「こころ」に愛情をくれた君。本当に、たくさんの、こころからのありがとうを。君に出逢えた人生は、幸福だ。
会えなくたって、遠くから、君の「ほんとうのさいわい」を心から願っている。いつだって、最大級の愛をおくっている。
 これから先、揺らぐことも、惑うことも、悩むことも、苦しいことも、たくさんたくさんあるだろうけど、僕は絶対に光の方へ歩いていくから。どうか、見守っていてくれると心から嬉しい。

そして、いつかは、昔の僕がずっと聴いて欲しかった声を、聴いてあげられる側になりたい。
 僕は、誰かの届かない泣き声を聴けれる人になりたい。

人に優しく、自分にはもっと優しく。
昔の僕にはさようなら。
さあ、新しい人生が始まる。僕のペースで、ゆっくりと、光の方へ歩いていこう。


P.S 読みにくい長文を、ここまで読んでくれて、ありがとう。あなたが気にかけてくれているという事実が僕を生かすことにつながります。どうか、あなたにあたたかい日々がありますよう。

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