父のこと

父に限界が来ている。
いや、とっくに限界を超えていることはわかっていた。わかっていたのに、わたしは父に甘えて、なかなか帰省することができずにいた。
綺麗事ばかり抜かしているくせに、あまりに弱くて反吐が出そうだ。

父は、母が他界したら、自殺はしないが暴飲暴食して、片付けもせず、一人早死にすると言っている。
悲しかった。
私たちという、子供たちがいるのに。母だけでなく、父の生きる理由にもなれないのか。
父はそもそもがん家系だ。
父方の祖父はわたしが一歳にもならないうちに癌で亡くなった。父にも今は良性ではあるが腫瘍がある。毎回、健康診断に引っかかっている。そして、父は命に関わる持病を患っていて、毎日薬を飲んでいる。

そんな父が、自分に気を使わなくなったら本当に早く亡くなってしまうことは分かっている。
大事な人には自分を大事にしてほしい。
あなたの生きる理由になりたかった。
ただ、ただ、ひたすらに哀しい。

不条理に怒りを覚える。どうしようもないのに。
不条理に涙を流す。何も変わらないのに。


ねえ、どうして、どうして私たちなの。返して、返してよ、あの日の日常を返して
どうか

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