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フェルンちゃん

サムネイル:葬送のフリーレンVol.1表紙 原作:山田鐘人 作画:アベツカサ

 結婚をしてからこっち、女の子を見る目が変わった。
 ……のだと思う。

 明らかにこれまであったトキメキ的な何かはなくなった。まあ、既婚者だし順当な変化だと思う。
 ちまたで流行りの「葬送のフリーレン」を全巻購入、とっても楽しく読んだんですね。

 楽しく読みながら内心(全然性的な目で見れない、なぜ!?)となりまして。こう、なんというんでしょうね。昔の自分だったら「シュタルク、イケ!」「やれ!」「そこだ、押し倒せ!!」「なんでいかねえんだこのふにゃちん野郎!」と思いそうなところなんですけどね。

葬送のフリーレンVol.2 原作:山田鐘人 作画:アベツカサ

 そういう気持ちより、登場人物たちのマイルドな恋心を淡い気持ちで応援するような、そんなおじさんみたいな存在になり果てていたんですよ。僕は。
 いつの間にか。


 なぜこうも典型的な変化――おじさん化が訪れたのか謎だったのです。
 謎、というかこれ、掘り下げて考えてみるほど価値があると思える疑問でもなかったし。だから放っておいたというか。

 もー、おじさんになるとそんなことばっかり。

 自らが自らに自己開示してみても「……まあ、そうだよね」になるし。おじさんの自己開示なんてそんなに価値のあるものじゃない(と思う)。

 けれど最近、こうして自分を見限った……というと語弊があるにせよ(そんなに自己肯定感が低いというわけでもないし)なんというか「どーせ向き合ったところが、おじさんの哀愁みたいなやつしか出てこないし」という感じで、特に自分を深く考えてみる的なことはやめていたわけだ。いまさら沈思黙考……!みたいにしなくても二十代の時に取った杵柄で、ある程度ふかく潜っていけるしあんまり困ってなかったわけよ。

 で。
 それもつまんなくなっちゃったから、もう一回そういうのをやってみようかなというわけで。

 さて、そういうわけで女の子を見る目の話だ。
 
 僕、とてつもないせっかちさんだった。
 付き合った女の子、ガチで全員結婚する気持ちで付き合ってた。これってどれくらい珍しいのかわかんないけど、まあ、どう……? レアだと思う。統計とかないし、ここまで踏み込んでメンズの話聞いたことないからあんまりわかんないけど。
 とにかくマジのガチの「付き合う=結婚」だった。
 なんでそんなに結婚に入れ込んでかって、報われない少年時代を過ごしたせいで、一発逆転したかったからなんだけど(よろしくないよね)。
 性急だよね、相手も驚くだろうし。

 一つ言えるのはそんな価値観の人間が結婚しちゃったら、そのあとは女性を見る目が変わるわな。未婚の時は女性に対してどっか無意識に「この人と結婚できるか」みたいにジャッジする部分が働いていたわけで。それをしなくなるんだから、見る目に決定的に変化がある。
 力みすぎだろ、と思うんだけど無意識はコントロールできないんだな。

 フェルンちゃんの話に戻る。というか結論として、僕はハイター(フェルンちゃんの保護者)に感情移入したということなのだ。

葬送のフリーレンVol.1 原作:山田鐘人 作画:アベツカサ

 おじいちゃんやん。

 先日、古い友人と話した。
 お互い三十代後半で、向こうはバツイチ(子あり)だ。二人ともいい大人になってるわけだが、昔話も弾んで「今、女性といるとどれくらい力むか」みたいな話になった。僕が「最近は結婚したせいかマジで力まなくなってラクになった」と言ったところ「俺はあかん、二人になったら絶対意識してまう」という返事だった。
 彼は「付き合う=結婚」というような価値観は持っていないけど、女性と二人になると性的な関係になれるかどうか勘ぐって、そわそわしてしまうということだった(もちろん、わかるよ)。

 いや「あかん」ということはない、絶対。見ようによっては僕のほうがオスとして終わっているワケだし。

 ただ僕が言いたいのは、今の自分は女性といても「何かよく分からんダンジョコーサイの土俵」に上がる必要もないし、ましてや「なんとなくみじめな思い」をしなくてもよくなった、ということなのだ。ラッキー☆
 いやこれは、かつては恋愛相撲から解脱したいという希望がありつつ、なかなか難しかったという話でもある。

 これは解脱したな、という気持ちになったときに書いた記事。


 その一方で、妻が僕の横で日々パカーッと口を開けて笑ったり、安心した顔で腹を出して踊ったりして過ごしているのを横目に
 「これはオスとして正解なのか?もっとこう、なんだ、……こう、あるんじゃないか?」
 という気持ちにもなる。
 なぜか。
 押しの強いオス(稼ぐオス)は、家庭を持っても押しが強いのを見ているからだ。大人になって、何かと付き合いでいろいろなおじさんとお酒を飲んだりするからね。

 どうだろう。
 おじさん?の葛藤って面白いかな。
 やっぱ文章にしてみて、そんなに価値があるとは思えないな。

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