スタージュという制度について思う事

自身の経験と知識による徒然とした独り言です。

制度詳細に関して裏どり等しているわけではないのであしからず。


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フランスにはスタージュという制度があります。

日本ではインターンシップといわれているやつです。

しかしながらフランスでは、専門職系の学校や大学等、高校以上の高等教育を行う学校にて、修了の為の必須科目としてカリキュラムに組み込まれていることがある為、スタージュ必修の課程を履修している場合は必ず行わなければなりません。

というのも、フランスでは日本のように新卒一括採用という文化がないからだと思います。いつだって空きが出れば採用するという中途採用。そしてもちろん経験者の方が優先的に採用されます。

スタージュでの経験は職歴として扱うことができ、スタージュ先で正社員として就職するパターンもあるようです。

私が通っていた学校のカリキュラムでも、3か月のスタージュ(実質2か月以上でOK)を行うことが必須項目となっていました。

ちなみに3か月以上のスタージュは有給です。

※似た制度でアルテルナンスというものもありますが、私自身も経験がないのでおいておきます。


色々思うことの前に、私自身の経験を少し書きたいと思います。

まずはスタージュ先探し。

最近は学校側がスタージュ先をあっせんするということができないらしく、開始直前になって切羽詰まるまでは学生に紹介してくれないそうです。なので基本的には自力で探すことになります。私は以下の方法で探しました。

ー学校のコミュニティサイトで共有されている募集に応募

ーFashionJobs.comというサイトでstageを探す

ーLinkedInで探す

ーその他求人サイトで探す

先にスタージュをすることになっていた友人には、30ブランドくらいにコンタクトをとったものの返事すらもらえないことも多々あったらしく、私も覚悟してスタージュ探しに挑んだのですが、結局は先にスタージュを始めていた同級生の紹介で見つけることができました。


そんなスタージュ制度について、どうなんだろうと思うこと。

①スタージュ生の賃金

②カリキュラム修了の必須要件となっていること

③フランスの就職制度

主にこの3つです。


まず①について。

先の制度紹介にて少し触れましたが、3か月以上のスタージュを行う場合、企業は学生に賃金を払わなければなりません。月最低600€弱。最低賃金の3分の1程度です。

しかしそれは逆に言うと、2か月以下のスタージュの場合、企業側は無給でスタージュ生を雇うことができるということ。

私がスタージュ中に縫製工場を訪問した際、「とある中堅ブランドは2か月のスタージュ生を使いまわしているから、いつもパターンがめちゃくちゃで困る」と聞いたことがあります。そういうことです。

学校の先生に聞いても、3か月や6か月のスタージュが必要なところ、通期の採用を見つけられずに2か月(以下)のスタージュで複数ブランドをはしごするという学生も一定数いるらしいということです。

そしてスタージュ先を探していたサイトなどに掲載されている求人には「2か月」「6か月」が多い印象なんですよね。「2か月」の企業は賃金を払う気がない、「6か月」の企業はスタージュ生でもちゃんとある程度使おうと思っている。この印象はあながち間違いではないのかなあと思っています。


②について、これは①とも関わりますが、必須条件ということは、常にスタージュを探している学生がいるということです。

つまり、賃金や条件(※本来スタージュ生は法定労働時間を超えて就労させることができません)が多少悪くても学生は来るということ。

知り合いの日本人は、仕事が終わっていないからと本来18時終業のところ、21時ごろまで働いていたことが何度もあったようですね。(有給でしたが残業代はなし)

なので、大企業は応募する学生も多いが採用要件もしっかりしている。中小企業は、多少条件が悪くてもある程度学生の応募もあるし、制度を活用しているところも少なくない。という印象になります。


そしてこのスタージュ生があふれているのは、②のみではなく③の影響もあるのかなと思います。

新卒採用枠のないフランス企業、基本的には経験者の中途採用を求めている為、経験年数を稼ぐためにスタージュを続ける人も一定数いると思うのです。

なぜそう思うかというと、学校の中には、半年の学校への登録料を払うことで、スタージュをするための契約書(スタージュを行うためには、どこかの学校へ登録し、学校・学生・企業の3者で契約を交わさなければなりません)を発行しているところがあるからです。語学学校でも一部の学校は発行してくれるみたいですし。

こういった学校への登録が学生身分の滞在許可証更新に使えるかはわかりませんが、フランス人であればこういった制度を利用し、スタージュを続けている人も多いのではと思わずにはいられないわけです。

(実際、私の友人2人は同じ学校の同じ課程を終了後、そういう道を選んでいます。)


つまり、

フランスでのスタージュ制度、おそらく国が思う理想形で運用されているならば、とてもいい制度だと思うんです。

今の国内の就職制度の中で、経験のない学生が試用期間のような感じで現場を経験し、適性があればCDIやCDDで契約につなげられる。留学生にしても、留学だけに来ている人は現地企業を経験できるし、その後就職を考えている人は、企業・業界とのつながりがつけられる。企業側もフランス最低賃金の3分の1程度で、その分野を職業にしようとしている人間を使うことができるし、気に入れば即戦力で採用できる。


が、実態としては、企業・学校は都合の良いようにスタージュ生を使い、スタージュ生もそう使われていることを容認している面が見られるなと。

日本の新卒一括採用がいいかといわれたらそうも思わないですが、これはこれでいいのか?と思う今日この頃です。


勿論、きちんと制度を正しく運用している企業もあるし、私の知らない業種や分野ではそうではないのかもしれないのですが。


という独り言。

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