FGOとクトゥルフとわたし

FGOで、クトゥルフを扱い始めて、「元ネタがわからない内輪ネタやめて」みたいな話をTwitterで見かけました。

でも、そもそもfateに出てくる英雄さんたち、わりとマイナーな神話とか、神話や物語としては有名だけど実際読んだ人は少ない、みたいなものから登場してくる人多いと思のだけど、なぜクトゥルフ神話だけこんな扱いなのかな、という疑問がわきました。

わたしは、アーラシュさんなんてFGOやって初めて知ったし、マハーバーラタの名前は聞いても読んだことはないし、アルジュナって言ったらそんなタイトルのアニメがあったような…(「地球少女アルジュナ」、っていうのがあった!)

正直アーサー王物語も読んでなくて、ランスロットっていう名前はやたらファンタジー系のゲームに出てくるよね~、あとは、アガサクリスティーの小説でランスロットとパーシヴァルって名前の人がでてくるのがあったなあ、とか。トリスタンとイゾルデって物語があるのは知ってる、けどトリスタンとイゾルデって両方人の名前だったのね、とかそんなレベルです。

ギルガメッシュにいたっては「ギルガメッシュナイト」という大昔にやってた深夜のセクシー番組のタイトルだったな、みたいなところから始まって「ギルガメシュ叙事詩」にたどり着く、みたいなかなりひどい有様。

ギリシャ神話と古事記あたりはわりとキャッチーで読みやすく物語性も高いのでわりと子供のころに読んだのだけど(正直、ギリシャ神話をたくさん読んだのはほぼ聖闘士星矢を見てたせい)、その程度のわたしで「本をたくさん読む子」として小学校では扱われていたので、一般的には神話とかは読んだことない場合が多いのかな…と思います。

ギリシャ神話と日本の神話が面白かったので、他の世界の神話もいくつか読んでみたのだけれど、世界の神話はもしこのプロットで漫画の持ち込みに行ったら、絶対ボツになりそうな、感情移入できないシュールな話もたくさんあるし、中途半端に終わって続きのないものもあるし、ちゃんと全部読むのは苦痛なのもたくさんありました。神様のすることはわけがわからない…。

というような感じではあるものの、ちゃんと読んだことなくても、神話のモチーフやアイテム、神々の名前は日常のあちこちに溢れてて、たまたま元ネタを知った時「あ、あれってこれだったんだ」となる場面がたくさんあります。

でも、クトゥルフ神話は、全く新しい神話、というかラブクラフトという人の「ぼくが考えた最強の旧支配者がすごいお話」、なので、神話って呼んでいいのかもちょっと怪しいし、日常には全く存在しないのです…。

比較的近年のアニメや漫画などの創作物では、よく扱われるので、そういうものに触れてきた人には多少の顔なじみのメンバーなのですが、そうじゃない場合はけっこう1ミリも知らない、って場合がほとんどだと思います。

そんな事情もあるものだから、おそらく、クトゥルフ神話を共有している人同士は知ってる人を見つけるとうれしいあまり「あれね、あれ(笑)」みたいな身内感を出してしまいやすいのに対して、ほとんど触れてこなかった人にはカケラも接点がないのでさっぱりわからん、という置いてきぼり感が出てしまうのかと思いました。

というわけで、クトゥルフ神話は「知ってる人」と「知らない人」の溝が、他の神話より断然深く、これって歴史の差かなあ、と感じた次第です。さすが歴史ある神話の神々や英雄の皆さんは、違うんだな…。

わたしとクトゥルフの出会いは、「ペルソナシリーズ」と、諸星大二郎先生の「栞と紙魚子シリーズ」という、どちらも特別に好きなゲームと漫画に出てきて、

「なにこれ、全然知らないけどみんなこれ知ってるの?」みたいな軽い気持ちから入ってラブクラフトをちょこちょこ読んだ程度です。正直読みやすいとは言いにくく、話が面白いかというとわかりにくかったり、明確に結論がなかったりするのだけど、「知ってる人」側に入りたかったのでちょっと無理して読んだ感じでした。

そう、おいでよクトゥルフの森。「知ってる」側にくると楽しめることもたくさんあるのです…。

でも、こんなふうにして、徐々に「元ネタ」として扱われる作品が増えて知名度が上がっていけば、いずれクトゥルフ神話も他の神話の神々と同じように、アニメや漫画のモチーフとして頻繁に使われるようになって、日常に入り込み、「元ネタは読んだことないけど、耳にしたことあるモノ」になっていくのかな、なんて思ったり。

わたしたちは今「お話」が「神話」になる瞬間を見ているのかもしれない…。



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