ラウンドテーブルというワークショップをやりはじめたので振り返りをしてみる
この記事はワークショップアドベントカレンダーの12/12の記事です。
ワークショップデザイン Advent Calendar 2019
https://adventar.org/calendars/4030
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はじめまして。
普段はUIデザイナーなどをしています。きのです。
昨年ぐらいから外部でラウンドテーブルというワークショップを行うようになりました。
手探りの中でのことではありますが3回ほど大きなものをやったので、初心者なりの学びを自分の振り返りも兼ねてシェアします。
ラウンドテーブルとは?
対話型のワークショップです。
名前の通り「円卓」のようにお互いの顔が見えるように座り、意見交換をしていきます。
何かをつくるというより、話すことが主体です。
どうしてラウンドテーブルを?
自分は現在、本業とは別にデザイナー同士の交流ということで活動をしています。
いわゆる「登壇」みたいなものだと話す人も限られ、また事前準備にも時間を割くことになり、それができる人は限られます。
しかし、ラウンドテーブルという形式でその場での意見交換を主体とすると、一人一人が話す時間は減りますが、普段なら外で聞けないような各社の学びや悩みを知ることができます。
LTなど登壇系のイベントが多くある今、別の形でやることでそこでは扱えないものを扱えるのではと思いやっています。
どんなふうにやるの?
いろいろあるようですが、僕が体験したり知人がやったことがあるものからするとこのような形式が一般的です。
- 進行役と参加者にわかれる
- お題がいくつかある(事前に用意することもあれば、当日聞いたりもする
- 話すお題を進行役が選ぶ
- お題について話したい人が話し始める(挙手制にしたりする
- 誰かがそこにかぶせていく
- それらの過程のログを残しておく
- ある程度経ったら進行役がまとめて、次のお題に移る
まあ、書いてみると普通っちゃ普通のことです。
実際、これを社内の同じ部署の人でやろうと思ったら、すごい気軽にできます。
ラウンドテーブルの難しいところ
お題を決める
ラウンドテーブルは「何を話すか?」を決めることがとても大事です。
- お題がはっきりしていないと議論がまとまらない
- 参加者それぞれがなんとなく話したい内容を描いて参加している
なので、僕らはこのようにやっています。
- 事前に参加者から話したいお題をGoogleFormで集める
- そこから傾向をみて、どういったお題を選ぶかを大まかに決めておく
- 当日の最初にこういったお題を取り上げる予定だと伝える
- 集めたお題自体はオンラインで全て見られるようにしておく
以前は始まる直前に付箋を渡し、そこに手書きしたものを回収しホワイトボードに貼ってまとめるやり方をしていました。
しかしその場合、どんなものが書かれているか目を通したり分類するのに時間がかかるため、会のスタートまで間に合わなくなったり、お題の選び方に偏りが出てしまいました。
また、僕らは全てのお題に目を通せますが、参加者はワークショップ中は見辛く、終わったとにホワイトボードを撮影していく人が多くありました。
あと採用関係のお題だけはどうしても発言が減ります。
各社そこのうまくいった事例だけはどうしても教えられないようです笑
期待値を揃える
上でも少し触れましたが、ラウンドテーブルは「話す」ということは決まっていても、その結果「どうなる」は決まっていません。
そのためそこをしっかりしないと、色々な期待を持って参加をすることになります。
- 事例をシェアして、持ち帰ること
- 悩みを話したら誰かが答えを教えてくれること
- とある課題に対して各社の手法と背景を知ること
- 最新の技術情報を交換すること
- とにかく外のデザイナーと交流がしたい
- 近しい分野の人と話して仲良くなること
いろんな期待が考えられます。
そこで僕らは開催時の案内にいくつか明記をしています。
- このラウンドテーブルでは「気づき」を得られるが「解決策」は出てこない
- デザイナー同士の交流のきっかけとしたい
- 話すだけで楽になることもある
これらは僕らが始めた思いと、実際のイベントでの制約から来ています。
まずは時間と参加人数の点から、深い議論をすることができません。
それはここをきっかけに同じ悩みを持つ人が仲良くなったりして、別の場で話してもらうのがいいかと考えました。
また、悩みや課題の多くは、コミュニケーションのことなど所属している組織の事情などに影響を受けやすいものが多く、銀の弾丸のようなものはないと考えています。
そのため、あくまでも他社の事例を聞いてそれを「気づき」として、自分のところではどうすればいいか考えていってもらいたいとしています。
なるべくそうなるように、司会としては誰かが話した事例について、それを選んだ理由やその結果どうなったかなどを少しだけ掘り下げるようにしています。
司会が主観を挟まない
自分も同業なので、気をつけないとうっかり自分の意見を喋ってしまいます。ですが、あくまでも主役はみなさん。
自分の拙い経験よりも、いろいろな立場、経験があるたくさんの人が喋ってもらうことが重要です。
用語や概念の定義をはっきりさせる
これも難しいところなのですが、実は同業といえど同じ言葉でも解釈が分かれたりすることが結構あります。同業ゆえにそこを見落としがちです。
なので、誰かが話した例えば「デザインをしている」というのは、いったいどこからどこまでを指すのか、話の文脈を汲み取りつつ参加者の中でブレがないように確認を取らせてもらったりをします。
また、その言葉を知らない人がいることも考えられます。なので、ちょっと難しそう、新しそうな言葉が出た場合にも補足をしたり発言者に意味を確認したりします。
心理的安全性
大勢の人に向けた話すことは大変です。
ですが、少しでもいろんな人に話してもらいたいので、なるべく話しやすくなるように心がけます。
まず発言時に名前や所属をいうことは任意としています。
もちろんそれがあった方が発言を理解しやすいこともあるのですが、会社に内緒で参加している、守秘義務がきつい、などなど制約が多い方もいます。
なので、そこで無理はしないようにしています。
そして、写真や映像の記録を残さないことも最初に伝えます。
議論の内容については学びのシェアのため残しますが、視覚情報で個人が特定されないようにしています。
司会は落ち着くようにします。
最後に、発言には常にありがとうございますと返しています。
本当にありがたいのです。ここでないと聞けない話がたくさん出てきます。
これからの課題
人数問題
実は僕らがやっているラウンドテーブルは100名を越す参加者がいます。
なので、実際に発言ができている人は多くみても1/5もいません。
もちろん人数を絞るべきかは最初に考えましたが、今はできるだけたくさんの人が参加できるようにしています。
とはいえ、多すぎる気もしています。
ラウンドテーブルの中にはテーブルを3−4にわけ、それぞれで別のテーマを話すというやり方もあります。
そういった形に変えていくのか、考えています。
悩みを話すだけで本当に良いのか
参加者にはよくこんなことを言われます。
「自分が思っていた課題と同じものが出てくると、自分だけの課題じゃないんだと知って安心できます。」
それは始めた頃には予想ができなかったのですが、ラウンドテーブルがもたらしたものでした。
発言すらしていなくても、抱いていた課題が取り上げられることで気持ちが軽くなる人もいるのです。
しかし、そこで止まっていいのか?とも考えます。
最終的には問題に対して何かしらの答えが得られないのでは、先送りにしているだけでもあります。
とはいえ、そんな突っ込んだ話ができる場ではない。
形を変えるか、もっと別のワークショップ・イベントもやるべきなのかなどを考えてしまいます。
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以上になります。
みなさんへの共有半分、自分としての振り返り半分みたいな記事になってしまいました。
あまり話題に上がらないものだったので、これを機会にうちではこうやっているよなど教えてもらえるとありがたいです。
では!
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