拝啓

親愛なる誰かへ

 こんにちは。あなたがこの文章を読んでいる時間はわかりませんが、こちらはまだ日が落ちていないので、こんにちはでも構わないでしょう?

 私も昔は、いや今も心の奥でそう思っているのですが、あまり自己肯定感が高いほうではないのです。でも、自信があったほうが無いよりもいいことくらい知っています。ですから、高校生の頃から少しずつ、しかし確実に自己肯定感の高い自分を練り上げてきました。まるで違う自分を演じているように、なんて言い方はちょっとかっこつけすぎですかね。

 今あなたが見ている私は、本当に私なのでしょうか。もうこのふざけた思考と振る舞いと虚勢の明るさで六年間も生きてきたので、もはや私の本心と切り離せなくなってしまいました。人から嫌われるのが、いいえ、好きな人達から、あなたから嫌われたくないのは今も昔も変わりません。だから、弱い自分をどうしても出せないのです。だって自信のない私なんて誰も見たくないでしょう?

 今まで人に嫌われないように会話をして、人に嫌われないように返事をして、素の自分を出さずに、明るい自分ならこうするだろうなと思って生きてきました。今更、弱さを持った、正直な、素の自分を出すなんて、私にはあまりに難しいのです。ですが、本当の気持ちを聞けないなんて、そんなのはあまりに淋しいでしょう。だから、少しずつゆっくりでも、きちんと本音で本心で自分で話せるようになるね。その時を楽しみにしていて。私は嫌われないか少し怖いですがあなたを信じてます。

 生きてるだけで偉いわけない、そんな言葉は虚言でしかない。昔の私はそう言いました。そして今もそう思ってます。でも、それなのに、あなたが辛そうにしているとき、一度だけ使ってしまいましたね。自分でもなんで言ってしまったんだろうって思いました。分かってるんです、生きてるだけで偉くないなんてこと。それは嘘だってこと。でもそんな嘘でもいいから、あなたに生きてていいと思ってほしかったのです。それが嘘でもいいから、その言葉の力が切れるのが一瞬でもいいから、一秒でも明日を向いてほしかったんです。なんだか言い訳みたいになってしまいましたね。でも私が放ってしまったその言葉は、決して適当に口から出たものでないことを分かってほしいのです。ただ、無理やりでもいいからあなたを肯定したかった。いくらでもある他の言葉を出せなかった私の未熟さを許してください。

 さて、少しだけにしようと思ったら結局こんなにたくさん書いてしまいました。いいえ、本当はもっとずっと書きたいことはあるのだけれど、まだそれを文章に出来るほど整理出来てないから、また今度話します。今はこれが私の精一杯。また明日話しましょう。

私より。

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