若手プロに知ってもらいたいこと 自分の面白さに気づけ
【強引グ・マイウェイって】
自分のことを突然「強引グ・マイウェイ」と言い出した人がいて、Twitterで見かけて「変なやつがおるな」と思っていました。詳しく見てみたら王位を獲った日本プロ麻雀連盟東北本部の選手でした。東北にも「いちびり」がいるんだと思いました。
「いちびり」とは関西の方言で「お調子者」とか「目立ちたがり」という意味です。さぞかし麻雀も生き方も強引なのだろうと思って、会える日を楽しみにしていました。
正直「強引グ・マイウェイ」というネーミングセンスは昭和テイストなので、その人は40代後半ぐらいなのだろうと勝手に思っていました。
最強戦2023シーズンのキャスティング会議があって、例年通りタイトルホルダーを集めた回があるという話になり、カネポンこと金本晃実行委員長から「誰か面白い人いませんか」と言われたので「東北に強引グ・マイウェイとか言ってる人がいるみたいですよ」と伝えました。
金本さんは「麻雀もちゃんと強引なんですかね」とニヤニヤしています。
私は事前に王位戦での戦いぶりをリサーチしていたので「かなり強引らしいですよ。でもちゃんと強くて、たとえばこういう局面で」と具体例を添えて言っておきました。
金本さんは金本さんで彼のTwitterなどをチェックし、王位戦の動画も見たのだと思います。後日、彼に正式にオファーしたいと連絡がありました。
「王位を獲った東北のプロ」というだけでは選ばれなかったかもしれなかった人が「強引グ・マイウェイ」という、お世辞にもセンスを感じさせない通り名を自分でつけたことにより、主催者である「近代麻雀」の人々から「出してみよう」と思われるようになったのです。
逆に、これがカッコイイ、センスあふれるネーミングだったら、カネポンは「いけすかない」と言って選ばなかったかもしれません。ちゃんと麻雀の打ち筋に関係があって、しかも王位という歴史のあるタイトルを獲り、周囲のプロたちの評価も高かったし、何よりも「強引グ・マイウェイ」という、ややダサ目のキャッチだったからこそ突き刺さったのです。
やるやん、石井良樹。
私はそう思っていました。
【いや山でええやん】
最強戦に出場する選手は事前にインタビューを取られます。絵面が変わらないと単調でつまらないから、どこか「思いのある場所」を選んでもらって、そこで話を聞くのが慣例になっています。
だから、できるだけ雀荘は避けたいんですよね。プロ雀士の「思いのある場所」が雀荘だと「そのまま」じゃないですか。
だから、どこかない? と石井君に聞いたところ「山形はなんもないです」と返ってきました。「山しかねえです」と。「しいて言えばクラゲ水族館が有名なので、そこでお願いします」と言ってきたのです。
なんかなー。つまんないなー。別にクラゲ好きじゃないでしょ?
「好ぎですね、気持ち落ちつぐがら行ぎますの!」
まあ、それならしゃあないなあ。
せっかく「強引グ・マイウェイ」なのだから、何か「強引にやってよ」と言ったのですが、石井君は冗談だと思って笑って終わりになってしまいました。
カネポンは遠路はるばる半日かけてクラゲ水族館へ行って撮影を終えました。もう、その素材だけでVTRを作るしかありません。
私は石井君のことを忘れ、仕事に追いかけられる日々を過ごしていましたが、ある日、考えられないものが目に飛び込んできました。
大量のタケノコの画像です。これはまあ、良いのですが。このツイートについたリプに対し、石井君は「自分の山w」と返していたのです。
自分の、山? 自分の山があるんやったら、山でええやん! クラゲ水族館より、ぜったい「自分の山」やん! 考えられへん!
確かに石井君は「山しかねえです」と言っていましたが「自分の山」とは言いませんでした。
なんでよ!
私はすぐ石井君に電話しました。石井君、自分の山っていうのを、持っているの?
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