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若手プロに知ってもらいたいこと⑤ スタジオでの立ち居振る舞い

【撮影現場は戦場】

 もうすぐ最強戦もファイナルを迎えます。
 今年の注目ポイントは若手が多いことですね。
 若い人のための予選をやったこともあり、若手が増えているのは当然なのですが、そういった選手たちの大会をお世話した時に「ああ、やっぱりベテランとか何回も出ている人は慣れているんだなあ」と実感しました。
 細かいことが、いちいち違うんです。
 今回は、そういった「番組制作現場」での注意点をお話したいと思います。

 番組は人間が作っています。麻雀番組も同じです。
 タイトル戦決勝の生放送などは、勝ち上がれば誰でも出られますが、麻雀番組は違います。誰を出すか選ぶ人が存在しているからです。
 また、たとえばタイトル戦の決勝でも、解説者などは誰かが選んでいます。次点の選手が自動的に選ばれるというシステムはあまりないでしょう。もしそんなシステムを導入していたら、その組織がダメになると私は思います。
 もちろん、万が一のために次点の選手を解説にしておく、という措置は全然ありだと思います。が、その場合は、保険としてもう1人、解説がキチンとできるナビゲーター的存在を置いておくべきでしょう。そうしないと視聴者が聞かされる解説が「運次第」ということになってしまいます。
 
 やっぱり、プロ雀士として生活していくのであれば、麻雀が強いのは当たり前として、他人から不要とされないことが重要です。
 当たり前ですけどね。

 
 ただ、お友達レベルの「嫌われる、嫌われない」という話ではなくて「仕事のプロとして」という意味です。
 
 たとえば「あいつとは友達にはなりたくないけど、この撮影にあいつは不可欠」と思われるような技術者やディレクターは存在しています。
 逆に「あいつは良い奴だけど現場では邪魔だから使わない」という人がいるかもしれません。
 
 1つの番組には思ったよりたくさんの人が関わっていて、そのチームワークで成り立っています。
 大げさに言えば撮影現場は戦場ですから、ヌルいことをする人がいては困るのです。49人のスタッフ全員が良い仕事をしても、あと1人のせいで放送事故になることだってあり得ます。
 
 麻雀打ちの皆さんが「この牌だけは絶対に切れねえ」と思うのと同じように「こんな奴は絶対に使わねえ」と思うわけです。
 そしてそれは、出演者であるプロ雀士だって例外ではないのです。

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 ちなみに、本当に撮影現場で人が怪我をしたり死んじゃったりするケースもあります。
 スタジオは、ものすごく高いところに重い照明を吊り下げていたり、高いところにカメラが設置されていたりと、危険なものだらけです。照明が当たっているところ以外は真っ暗で、足元には無数のケーブルが這っています。それらに足を引っかけたら大変です。カメラは高級車ぐらいの値段のものが使われています。立ててあるセットは意外とモロいものです。普通のカベだと思ってもたれかかったら、すぐに倒れてしまいます。倒れたら、もう撮影はできません。
 本当に地雷だらけの戦場なので、気を抜いてはいけないのです。

【終了予定を教えてください】

 麻雀番組を運営する際に、プロ雀士から「終了予定は何時ぐらいですか?」と聞かれることが「担当者がイラっとするランキング1位」です。
 芸能事務所のマネージャーさんとか、麻雀をあまり知らない人が聞いてくるのは仕方がありませんので、ちゃんと説明します。
 麻雀の試合は早ければ30分ぐらいで終わり、長ければ3時間ぐらいになることもあります。だから4試合なら早くて2時間、長くて12時間。これに休憩時間などが入るので、4試合ならプラス1時間程度を足した時間になります。
 ただし、平均は約90分なので、回数かける100分ぐらいだと考えてください。つまり4試合なら400分です。これが目安ではありますが、もし後ろにお仕事を入れる場合は気を付けてください。その時間に終了しない可能性がかなりあります。それは撮影スタッフたちの問題ではなく、麻雀のゲーム性の問題なのでご了承ください。
 
 だいたいこのような説明になるのですが、同じことをプロ雀士に聞かれると「え?」と言いたくはなります。
 

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