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プロ雀士スーパースター列伝 三浦智博 編

【楼蘭でも地味だった三浦】

 三浦智博が優勝したのに、なぜか打ち上げ会場の「楼蘭(飯田橋)」でチヤホヤされていたのは大庭三四郎の方だった。
 本来、主役であるはずの三浦は、席こそ場の中心ではあったが、一人で静かにお茶を飲み、ギョーザを食べ、チャーハンを食べた。そして帰った。
 カネポンこと金本晃「麻雀最強戦」実行委員長は、何とかして三浦のテンションを上げようとしていた。「三浦さん、僕とオデコが似ているから親近感わくんですよー」とか言っていたが、三浦は恥ずかしそうに微笑み、お茶を飲んだだけだった。

 私はその様子を見ながら「こいつ何とかせなアカンなー」と思っていた。
 三浦は2020年の「次世代プロ集結 麻雀代理戦争」の予選会に、荒正義プロの推薦で出場した。有名プロたちが若手を1人ずつ推薦し、その予選会で勝った8名がABEMAでの放送対局に出場できて、優勝すれば最強戦ファイナルに出らるという大会だった。
 荒さんに電話をしたが、やはり答えは「いや俺、若い子知らないし」という「シヲ」対応だった。
 どうせそうくると思っていたので、三浦はどうですかと聞いてみた。
 「誰それ、知らない」
 これも読み通りだった。織り込み済みだ。
 「いつもスパルタ会に来ている子で、こういう麻雀打つ子で」と特徴を説明したら「ああ、彼ね。いいんじゃない。打てるよ。将来伸びるよきっと」と、興味があるんだかないんだか分からないが、一応は「いいんじゃない」という言質はとった。
 じゃあ、推薦してもらえますね。
 「うーん、何かしなきゃならないの?」
 彼が勝ち残ったら、推薦理由などを語ってもらいます。そのために撮影をするので、竹書房からは謝礼が1万円出ます。
 私がそう説明したら「じゃあ良いよ。頑張ってと伝えておいてください」と言った。
 これまた薄情な雰囲気があるかもしれないが、荒さんはだいたいこうだ。最後に「頑張って」というだけマシというか、やはり三浦のことを買っていたのかもしれない。もしかして、もしかしてだけど。三浦が勝てば1万円もらえるから「頑張って」と言っただけかもしれないが。

荒正義

【勝ちまくった3年間】

 三浦は予選を勝ち上がった。VTRの撮影をする頃には、荒さんもちゃんと三浦の麻雀を見ていて、まともなことを喋ってくれた。
 三浦は大会で優勝し、ファイナルに出ることができた。
 ファイナルに出た選手は、だいたいは翌年も出してもらえる。三浦は2021年の最強戦に出たが、優勝はできなかった。決勝には残ったし、オーラスまでトップ目だったが、最後の最後に危険牌が打ち切れず、逆転負けを喫した。
 私はまずいなと思ったので、noteに「可哀想だがたぶん三浦智博プロは呼ばれない」と書いた。わざわざ無料記事にして「ふざけるな金本!三浦が可哀相だろ」「黒木○ね!」と、大して三浦のことが好きではない人でも、私とカネポンのことを嫌いな人が怒って「三浦を出せ」という空気を作ろうとしたのだった。

 が、全然話題にはならなかった。
 2年も前のことなのでハッキリ覚えてはいないのだが、確か醍醐大プロだけが何か言ってきたような気がする。「三浦さんの麻雀が好きなので」と言ってくれた記憶がある。それと、私が醍醐さんとやり取りしているのを見た知らない人が「最高位様に対し黒木がごちゃごちゃ言うのは失礼だろ」みたいなことを言ってきたと思う。過去の発言を検索してみたが、引っかからなかったので「たぶん」なのだが、大きく間違えてはいないはずだ。
 三浦は何とか2022年も「最強戦」に出してもらえた。私のnote作戦は不発に終わったが、カネポンは「ウーン」と言いながらも出してくれた。
 だが、今年、三浦の名前はなかった。

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