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流れの正体 押川雲太朗編

【混在】


「ポン」

打8s


 漫画家の押川雲太朗さんはここから何をポンしたか?
 これは2014年のお正月に行われた30時間麻雀というニコ生の企画内のある一局。同じく漫画家のこしばてつや氏、志名坂高次氏、お笑い芸人のブラックパイナーSOS内藤正樹さんと押川さんで4回戦を打ち、優勝者が麻雀最強戦2014著名人代表決定戦に出場できるというものだった。
 1回戦はこしばさんが大トップをとり押川さんは箱下1万点のラス。冒頭の牌姿は2回戦の東1局で、押川さんは北家。そして「ポン」と言ったのは親の第1打牌に対してだった。

 しかもその牌は[北]ではなく[9ピン]であった。

 押川さんといえば、メンゼン主体の王道の麻雀を打つ本格派として知られている。
 その押川さんがいきなり親の第1打を、しかも北家でポンするというのはどういうことか。

「理由は色々ですよ。ありきたりに言えば流れを変えたかった。流れという言葉が嫌いな人に言うなら、場の雰囲気を変えたかった。こじつけたように説明するなら、僕が珍しい鳴きをしたら必要以上に警戒してもらえるかもしれないから。それで手を曲げてくれたらラッキー。そんなところですかね」

 前回大トップだったこしばさんが守備型、対応型であることも判断材料になったのか?

「もちろんそうですが、今僕が言ったようなことは一瞬ですべて言語にできないでしょう。漫画ではセリフになりますが、実際に打っている時はもっと反射みたいな感じですよね。全部を言語にしている時間など到底なくて、でも沢山のことを同時に一瞬で考えているのが人間の脳ですよ。だからある意味でこじつけなんです。もちろん、1回戦ハコラスだったので、休憩中にタバコを吸いながら、何かしないと、と考えてはいましたよ。特に1回戦はリーチ負けばかりでしたから、リーチから入るのはイヤで、仕掛けていこうかなと思っていました」

 リーチ負けが続いたからリーチよりも仕掛けにいってみよう。この発想に流れ論者は共感できるのだろうが、デジタル派は違和感を覚えるだろう。
 ここまではリーチ負けしてきたかもしれないが、次は勝つかもしれない。サイコロの出目がランダムなのと同じで、リーチの勝敗の流れも人間が予想することは不可能だと考える。
 しかし、本当にそうだろうか。

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