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なぜプロ雀士ばかり炎上するのか


【単語を読むだけの衆愚】

 プロ麻雀界は他の業界と違ってファンと選手の距離が異常に近い。
 お客さんと一緒に雀荘でプレーし「X」で告知したものにリプがついたら返事をする。試合内容に対してマニアが上から目線で「こうした方がいいよ」と言ってきても「なるほど、そういう考え方もあるんですね」みたいに返事をする。
 そうやってファンサービスや営業活動にいそしむ一方で、副産物のように「燃えやすい環境」が作られていく。
 Xでポスト(投稿)する回数も多いから「可燃性の発言」をしてしまう可能性も高くなる。それが大した失言でなかったとしても燃える。ちょっと誤解を招きそうな「キーワード」を入れただけで着火する。

 たとえば冒頭に「プロだって人間ですから点数計算を間違えることだってありますよ」などと言ったら即「火祭」開始である。
 たとえ次の行に「もちろん、間違える回数を減らす努力をするのは当たり前なんですけど」と「やや乱暴な書き出し」を修正する一文を付け加えた上で、本題を話そうとしてもムダだ。
 本当はこの後に続く「プロでも間違えてしまうような複雑な点数計算システムをやめて、初心者がプレーしやすい方向に持っていった方が業界のためには良いのではないでしょうか」という話を「本題」にするつもりだったとしても、火祭ワッショイ民は冒頭だけで興奮してしまっていて、もう何も耳に入らない。

 だから、気を付けるべきは「話の内容」ではなくて「使う単語」なのだろう。ちゃんと日本語が理解できている人同士の話し合いなら問題ないのだが、そうでないケースがかなり多い。
 橘玲氏の著書「バカと無知」(新潮新書)には「日本人の3人に1人は日本語が読めない」という衝撃的な実験結果について書かれていた。ということは、ランダムに選んだ2人が会話する場合、だいたい半分以上の確率で話がかみ合わなくなる。
 実際に「X」を日常的に使用していると「ここ(X)ではその確率がもっと高いのかもしれない」と思わされる。特に炎上時の火祭ワッショイ民たちが大騒ぎを始めた時は、体感で8割ぐらいが「日本語を読めていない」前提で発言しているように見えるのだ。
 とにかく「ちゃんと読んでくれるはず」と思わずに「地雷ワードを使わないようにしよう」と心がけておかないと、簡単に炎上してしまうので要注意だ。

【俺にだってなれたプロ】

 さらに火祭ワッショイ民を騒がせる「燃料」となるのが「麻雀のゲーム性」と「プロ」の2要素だ。
 その2つが特殊であるがために、一部の人は「プロ雀士」に過剰な憧れと期待を抱き、同時に嫉妬するのである。

この記事は7月1日発売の「麻雀界炎上事件簿」に収録する予定です
noteで購入すると400円と少し高いですが、定期購読(月980円)なら今月の記事はすべて無料で読めます
また、7月1日発売の書籍は1,500円ぐらいになりそうです。
今後も少しずつ発表していきます

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