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若手プロに知ってもらいたいこと キャンセル・カルチャーの恐ろしさについて

【おことわり】

 前回のnoteの原稿を発表してすぐ取り下げた理由は「キャンセル・カルチャーについて不勉強な点があり、誤解を招くような書き方をしてしまったこと」と「事象の比較をする際に時代背景などを考慮していなかったため不適切だったこと」と「個人の名前を挙げなくても私が書きたいことが書けるため当該部分を削除したかったこと」が挙げられます。
 すでに購入された方は旧バージョンを読むことができるのですが、これから購入される方は、こちらの新バージョンを読んでいただければ幸いです。新バージョンは旧バージョンに手を加えたものであり、基本的なテーマや私の考え方は変わっておりません。また、新しいネタも入れてありますので、前のも読んだけどこれも読む、という方も大歓迎です。

【マウンド上で殺せと言われた過去】

 私は小学校5年生の時、少年野球チームでピッチャーをやっていたのですが、試合が始まるなり、相手の監督が「お前ら、声出さんかい! 声!」と怒鳴ると、ベンチにいた選手たちが「ピッチャーにぶっつけって殺してまえ♪ ハイ! ピッチャーにぶっつけって殺してまえ♪ ハイ!」と繰り返し、応援歌のように歌い始めました。監督は「そうや! もっと言え! もっと!」と言ってきて、私はさすがに笑いをこらえることできず、投球動作を途中でやめてしまいました。
 主審もタイムをかけて、相手の監督に「あの、さすがにそれは、あきまへんわ」と注意しました。
 その学校は生徒が少ないため、4年生から6年生までの混合で、特別に5年生のリーグ戦に出ていた弱小チームでした。私に向かって「殺してまえ♪」と歌っていた中には、1年生か2年生ぐらいの女の子もいて「殺せ」と言われている私も腹が立つどころか「オモロイなー」と思ったのでした。

 でもこれ、今の時代だったらどうなったか分からないですよね。たとえばYouTubeで配信されていて、視聴者が「子供の教育に悪い!」とか「殺せはないだろう!」と怒り出すかもしれません。その「もっと声出せ」と言った監督は、全然悪い人ではないのに、ネット上で袋叩きにあって処刑されるかもしれません。
 もし、この監督が著名人だったら大私刑(リンチ)大会が始まるのは確定ですよね。
 世の中で目立っている芸能人や著名人、あるいは政治家や企業のトップなどの権力者などが失言をすると、ピラニアが獣の肉に群がるように一挙に「批判者たち」が集まってきます。そして、いわゆる炎上という状態を作り上げますが、その炎は、対象者が「辞任」や「処分をともなう謝罪」などをするまでおさまりません。
 こういった現象や行為を「キャンセル・カルチャー」と呼びます。
 社会現象となっている「キャンセル・カルチャー」は、著名人の過去の「差別的発言」など「ちょっとした失言」で済まないようなレベルのものに起因する場合がほとんどです。しかし、もっと低レベルな次元での「キャンセル・カルチャー的事象」はそこかしこで起こっていて、麻雀界も例外ではありません。
 そして、失言などの失敗はリアルタイムに限定されません。インターネットにはずっと証拠が残り続けます。いわゆる「デジタルタトゥー」は永遠に消えないため、一般人を含むほぼ全員が、そのことを覚悟する必要があります。
 たとえば、今は無名の新人女性プロ雀士が「Mリーグ」のファイナル最終戦オーラスのリーチ合戦を見ながら、冗談で「アタリ牌つかんだら食べちゃえ!」とTwitterで発言したとしましょう。その時点では洒落として扱われ、ちょっとウケて終わっただけなのに、数年後大きく様相が変わるかもしれません。何年後かに、Mリーグのドラフト会議でその女性プロが指名されるかも、という噂が流れ始めた頃、突然、過去のツイートが掘り起こされます。
 「こんな風にMリーグを冒涜していた奴を指名していいのか?」とか「麻雀プロは道具に対するリスペクトもないのか?」とか「これってある意味でイカサマ推奨じゃね?」とか。様々な批判が沸いて出てくるかもしれません。
 その結果、指名を考えていた企業が「ちょっと危なそうだから違う子にしよ」と思って翻意したら、それはそれなりの「キャンセル」ですよね。麻雀界は小さいですが、小さいがゆえに「キャンセル・カルチャー」も少人数によって成し遂げられる可能性があります。

【キャンセルされないためには】

 こういう「不適切発言」関連の炎上って、法則性なんてないと思った方が良いです。すべてが程度問題であり、ケースバイケースであり、誰が、いつ言ったのか、それによって全然結果が違ってくるのですから。
 では、どう対処すれば良いのでしょうか?
 方法はいくつかあります。

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