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プロ麻雀界近代史 麻将連合の発足

【誰も見ていないプロの世界】

 1997年4月5日の土曜日午前11時。有楽町の「錦江荘」が対局会場だった。
 私が23歳で日本プロ麻雀連盟に入って初めての試合が、ここで行われたリーグ戦の対局だった。当時はA1、A2、B1、B2、Cの5リーグしかなく、私は当然Cリーグからのスタートだった。

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 しかし、当時の私にとっては普通の雀荘で行われた普通の麻雀大会と変わらなかった。
 すぐ隣がJRの高架で新幹線も通るので、時々音が聞こえてくるというのもあったが、今のようにシーンと静まり返ってはおらず、結構ガヤガヤと話し声がしていた。試合中も普通の雀荘程度に雑音はあった。それでも当時はまったく気にならなかった。

 今のように見てくれる方も、見せる方法もなかった。
 「頑張ってください」と声をかけてくださる人もいなかった。
 おそらく、世の中の誰も私たちの存在すら知らなかった。

 試合の結果や内容などはまったく覚えていない。神戸の実家に帰って夜中に思った。

 プロの世界と言ってもあの程度のものか。
 もうちょっと何とか「プロっぽく」ならないものだろうか。
 もし、もっと「プロっぽく」するとしたら相当の金が要るだろう。
 しかし、誰も知らないマイナー競技に金を出すような奇特な人は現れまい。
 いっそ私が、自分で億万長者になってプロ麻雀の世界に何億もの金を恵んでやるぐらいじゃないと「プロっぽく」はならないだろう。
 だが、そんなことは不可能だ。
 私が「あの世界」で何か成すことはないだろう。

 麻雀業界のことも歴史も知らない私は、ただリーグ戦を1日打っただけでそう思った。


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