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川村晃裕~名著『麻雀勝ち組の鳴きテクニック』の著者は今【ドキュメントM】

元麻雀プロで、プロをやめた後もネット麻雀天鳳で川村軍団を作るなど強者として君臨してきた男・川村晃裕。竹書房からも2017年に本を出したがその後どうなっていただろう?

都落ちした麻雀クズはどうなった?
 

 今回の取材は金本編集長の「川村さん、どうしてるんでしょうね」という一言から始まった。

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 2017年に近代麻雀戦術本シリーズ「麻雀勝ち組の鳴きテクニック」を発売した後、雀荘の店長を1年半ほどやってやめたことまでは約2年前にこのドキュメントMでも取り上げた。

 その後、名古屋に帰ったという噂は聞いていた。
川村さんのツイッターを見ると「近いうちに東京に用事で行く」と書いてあったので早速取材を申し込むとOK。

 こちらの思惑としては「素晴らしい本を出して一世風靡したけど、今は実家で親のスネをかじってなんとか暮らしてます」という話になるのかな、と期待していた。
 ここで、川村さんの経歴を簡単におさらいしておこう。
 名古屋の東海高校出身。東京で言えば開成、関西で言えば灘に匹敵する、最高レベルの進学校だ。しかし勉強に挫折して大阪商業大学へ。ここは当時日本で唯一「ギャンブル」の講義がある大学で、麻雀101の大阪対局室が学内にあるという環境だった。
 ここで麻雀に魅せられ、在学中に日本プロ麻雀協会のテストに合格。

 新卒で就職したがすぐ退職、ノーレートフリーの経営などにも携わったが見切りをつけて東京へ。天鳳をしながらスロットやパチンコなどのギャンブルをしたり、雀荘やポーカーハウスで働いたり、はたまたヒモになったりしながら暮らしていた。
 そんな中、鈴木優プロの戦術本『1秒で見抜くヤバい麻雀心理術』に出会ったのをきっかけに竹書房で本を出すことになった。

 この本は初めて「鳴き」に特化した戦術本として注目を集め、発行した部数はほぼ完売。電子書籍は今も売れ続けている。川村さんはネット麻雀の天鳳でも有名だ。一時期「川村軍団」というグループが大活躍し、そこから就活生さん、おかもとさんという2人の天鳳位を輩出したことでも知られる。
 しかし、である。いくら麻雀が強いと言っても、自分自身が天鳳位になったわけではないし、本のタイトルは勝ち組だけど、彼の人生は負け組じゃないの? と取材前は思っていたのである。

鉄人社から麻雀戦術本を出しました

 ヒトの不幸は蜜の味。川村さんの負け犬っぷりを紹介しようとニヤニヤしていたところ、竹書房にやってきた川村さんは開口一番、こう言った。
「来月、本を出すことになりました」
 え? 何の?
「麻雀の本。鉄人社から声がかかって名古屋でコツコツ書いてたんです。今回、東京に来たのはその最終校正のためです」

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 鉄人社と言えば、Mリーガー・魚谷侑未プロの戦術本を出した出版社だ。
「名古屋に帰ったのは、東京でやることがなくなったからです。竹書房で本を出すまでは、『メディアの中心である東京にいないと何も発信できない』と思っていました。

 でも、あの本を真剣に取り組んで出版して、そのイベントで縁ができた雀荘の経営をやってみて、うまく行かなくなった時にコロナ社会になって、母に『コロナだし帰っておいでよ』と言われて実家に戻りました。18歳で家を出て大阪に7年、東京に10年いて、名古屋に帰ったのは17年ぶりです。毎日忙しくしてますよ」
 これは失礼。

 思っていたのとはずいぶん様子が違う。改めて、名古屋での生活について聞いてみた。
「初めはパチンコやスロットをやっていたんですけど、名古屋ではあまり良いお店がなくて、最近は海外FX(外国為替証拠金取引)や株取引、雀荘のバイトをしていることの方が多いです」
 そう聞くとプータロー的な印象なのだが?
「いや、めっちゃくちゃ真面目にやってます。スロットだったら朝9時に抽選を受けるために早起きしてちゃんと出かけるし、FXや株も数人のチームで情報を共有し合ってスケジュール通りやっています。ギャンブルが大好きですけど何でもバクチ的にやってるんじゃなくて、真面目に考えて期待値の大きいほうを選択してます。数字のわかる人にはわかると思うんですけど。
 それに俺は、お金を使うのはペットボトルのお茶1本でも惜しいタイプだから、夜は家に帰って母親とご飯を食べます。規則正しく生活していて、母は『そんなに働いて大丈夫?』と心配してくれます」

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