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苦労の人・杉浦勘介【文・荒正義】

杉浦勘介は、愛知県在住で連盟の20期生である。
A1昇級が37期だから、トップリーグ来るまでは17年の道のりがある。
38期から40期までA1に残留し、現在に及ぶ。
連盟のビッグ・タイトルは取っていないが、決勝の進出がある。

王位戦・1回
十段戦・2回

これも相当な実績である。王位戦で決勝に来るまでが大変である。アマとの混合戦だが、参加人数が多すぎるのだ。
ハードルを5か6を超えなければならないのだ。運も絶対条件である。
十段戦は、もっと大変。相手は連盟のプロだから、甘い打ち手が居ない。
そこを自分の能力と雀力で、越えねばならないのだ。しかし、超えても超えても、高段の先輩が控えている。十段戦は段位制であるため、下からの勝ち残りが大変なのだ。
力がなければ勝てないが、その日の運も絶対に必要なのである。

しかし、この間に杉浦は近代麻雀の『野口恭一郎賞』を受賞していた。これも至難の業だ。
故・野口恭一郎さんは、竹書房(近代麻雀)の創設者である。千葉の麻雀博物館で行われるのだが、他団体のプロも参加するから、優勝は夢のまた夢となる。

「ボクは20年間、ずっと試合のたびに愛知から東京のプロリーグに通っていました。
若い頃はまず、新幹線代と宿泊費を捻出するのが大変でした」

これが地方から、本場の東京に参加するためのハンデーである。

「よく頑張ったナ!」

「東京には、麻雀にすべてをかけている人たちがいて、そこで真剣勝負ができたからです!結局は、その勝負の一瞬に魅せられてここまで来たというのが、正直なところです」

いい勝負の後は、勝っても負けても確かな余韻が残る。
そして「次こそはー」となる。私も、20代の頃はそうだった。
これが、いい意味での麻雀の依存症である。

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