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【麻雀小説】緑一色というワンシーン【アメジスト机】
なに? その手順
「南3局の卓にメンバーが入ってますのでしばらくお待ちください」
久しぶりに来たフリー雀荘「つくし」。
待ち席で昨日発売の近代麻雀を読もうと思ったらあっちの客が読んでいる。つかねぇ。
(バックナンバーのグラビア見るか……)と思って手にしたら巻頭カラーが高宮まり。……つかねぇ。俺より稼いでる大先輩ではわくわくできない。
おそれ多くてそっと閉じる。
手持ち無沙汰なので、待ち席から見える麻雀を後ろ見していた。俺に背を向けているオバサンがトップ目。
オーラスで40000点持ってる西家。
見える手牌は
![](https://assets.st-note.com/img/1650724878546-nYUzSDsDaD.jpg?width=800)
どこからでも鳴いていけ。
そう思っていたら4pをツモ切った? え?何? そのあと2を引いて、赤5を切る。いやいやそれはないわ、と思っていたら、發を引いてこれは手に置く。何やってんだ? と思ったらドラの白をツモ切り。
「ポン」
オヤに鳴かれた。は?
「お待たせしました」
ホットありありを持ってきたメンバーのかっちゃんに
「手順めちゃくちゃなんだけど」
と小声で言ってみた。
「あ、ね。役満オバサンって呼ばれてます」
言われるまで気付かなかった。このオバサン、無理矢理に緑一色に向かってるんだ。
「ひでぇな」
と俺が言うと、かっちゃんは曖昧な笑顔を残してあっちへ行った。
「ロン、12000」
ドラをポンしたオヤに放銃してラスト。
人生で残り10局でもこれピンフにする?
「お待たせしました、こちらへどうぞ」
オバサンの上家に座り、顔を見ると目が大きくて鼻が高い。いかにも気が強そうだ。母ちゃんくらいの年か。
東1局、下家のオバサンの河にソーズが出てこない。
絞って打っていたら流局。オバサンが開けた手牌は
![](https://assets.st-note.com/img/1650724898648-wszjYen7kI.jpg?width=800)
やっぱりメンチンだ。でも河にピンズが1メンツ並んでるじゃないか。
東1局なら即リーチ打ってアガっとけよな。
東3局、またオバサンの動きがあやしい。序盤に俺が切った2sをリャンメンチーして打白、中盤に8sをポンして打西。西はドラだ。
鳴く前の形は
![](https://assets.st-note.com/img/1650724908352-QvKM28wtcN.jpg?width=800)
どうなってたんだ? とにかくもうソーズは切らないでおこう。
誰もテンパイ気配がないまま終盤になり、俺の手牌には赤5sと發が浮いてる。形式聴牌はもう無理だ。
オヤにソーズが切りづらいので子方は手にならない。
最後のツモで、俺の中にちょっとしたいたずら心が生じた。
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