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安定感0。刀折れ、矢尽き、血溜まりの中に倒れこむ中月裕子を応援する理由【文・五十嵐毅】

中月裕子(なかつき・ひろこ)日本プロ麻雀協会13期前期入会。

9年目の選手であるが、協会HPの会員一覧にあるとおり

第16期新人王

第7回μレディースオープン優勝

第19期女流名人

夕刊フジ杯2018団体戦優勝

と、タイトル優勝回数は同期の中では圧倒的である。

中月1

僕が彼女に注目したのは7年前、2015年4月29日(昭和の日)に行われた「チャンピオンロード」だ。

これは一般も参加できる協会のワンデー大会で、祝日を利用して年7回開催。トータルでの成績優秀者でグランドチャンピオン大会が開かれるというもの。

このときは第6回(6年目)で、4月からスタートなので「NPMファン感謝祭」と銘打たれた初日。これに中月も僕も出ていた。

4回戦目で下位が敗退、5回戦を終えて上位12名で準決勝、7回戦目が上位4名ポイント持ち越しでの決勝となるシステム。

5回戦に中月と当たった。同卓するのはもちろん、中月を強く意識したのもこのときが初めて。

東2局に僕のいち鳴きホンイツ満貫に放銃するも、その後も攻め続けてきて、相当な圧力を感じた。

この半荘は辛くも逃げ切れたが、中月に対する感想は「ここまでにトップ3回も取っていて200P以上持っているのに攻め過ぎじゃないか?」というもの。

しかし、あとで知ったのです。これは中月の通常営業だということを!

中月は決勝までコマを進めたが、決勝進出者4人の中では一番持ち点が低く条件は厳しい。しかし、あの攻めっぷりが発揮されれば行けるのでは、という予想が働き、準決勝で敗退していた僕は「面白そうだから観戦記を書く」と希望した。

5回戦のときと同じくホンイツの満貫放銃でスタート。

しかし、その後攻めて攻めて攻め続け、優勝をもぎ取った。

当時の観戦記を読み返すと、「攻めダルマ」「強欲すぎる」など、普段僕が使わない言葉が使われている。あまりの攻めっぷりに、なかばあきれていたんだろうなぁ。

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