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家族に100万円を渡すことができました【庄田祐生】

庄田祐生
日本プロ麻雀連盟所属。2024年1月1日実家の輪島市に帰省中に能登半島地震で被災した。その後迷った末自身は東京で生活を再開。


実家のにおいが好きだ。

目を閉じていてもどこに何があるのか分かる。
29年間生活してきた
そんな実家が無くなることになった。

あの地震から8ヶ月が経った。
僕は2月半ばに東京に戻ったが、輪島を忘れることは1日も無かった。

地震の速報が入るたびに恐怖を感じる。
家族が、家が、いつ無くなってもおかしくない状態で毎日生活していた。

僕にできることはないか、考えてはみたものの
結論は出なかった。

家に調査が入ったらしい。
ほぼ全ての世帯に調査員が来て、どれほどの被害があるのか判断される。

実家は「準半壊」だった。
「準半壊」といっても決して安全なわけではなく
いつ家が崩れてもおかしくない状態だった。

「準半壊」の1つ上、「半壊」判定を受けると
仮設住宅への入居も認められ、家の公費解体(自治体のお金で家を解体できる)も可能になる。

「準半壊」と「半壊」の差は歴然としていた。

仮設住宅に入ることもできない。
家を解体するにも何百万円かかる。
定年間近の両親も、途方にくれた。
ただ生きているだけ。なにかを諦めている。

風呂場もトイレもキッチンも、全てヒビが入っていた。でもここで住まなきゃいけない。

キッチン
ヒビをテープでとめた風呂


1つ直すにしても数十万円。
なけなしのお金を使い、ようやく生活できるほどに実家は回復した。

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