おれは、休みだったのだ。【文・長村大】
おれは、休みだったのだ。
その休日を、新宿で過ごしていた。具体的には、知人と昼間からビールを飲んでいたわけだ。特別ななにかがあったわけじゃない、ありふれた日常、ありふれたビールの味。昼間から飲む酒はいつもよりほんの少しおいしかったかもしれないけれど、もう憶えてはいない。
それはなんの前触れもなく、突然、来た。いつものように、そしていつもとは違う激しさで。
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