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ドキュメントM  えいみさん 26歳

夜のフリー麻雀店。そこにはいろいろなお客さんがいる。今回紹介するえいみさんは、一流大学を卒業し、ITベンチャー企業で働く高給取りの会社員だ。在宅・フレックス制の仕事を終えると毎日麻雀店に行くというえいみさんに、お話を聞いた。

 


東工大の院卒。毎日だいたい朝まで麻雀

毎日麻雀店に通い詰めている若い女性、と聞いた時、皆さんはどんな人を想像するだろうか?
昨年このコーナーで取り上げたキャバクラ嬢のゆきなさんのように、セットで高レート麻雀にハマり、その後フリーに通うようになった人もいる。数か月前に登場した響子さんのように、好きな麻雀プロができて、その人に会うためにあちこちの雀荘に行くようになった人もいる。
また、付き合っている彼氏にくっついて雀荘に出入りしているうちに、自分一人でも通うようになった人もいる。

そんな中で、今回お話を聞いたえいみさんは異色の存在かもしれない。
IT企業の優秀な会社員だからだ。
えいみさんは、子供のころから絵に描いたような優等生だった。会計士であるお父さんの仕事の都合で、アメリカで生まれ、3歳のときに名古屋に転居して小学校まで過ごし、千葉県の名門私立中高一貫校である市川中学校高等学校に入った。そこから現役で東京工業大学に入学して数学を勉強し、大学院に進んだ。
ティーンエイジャーの子を持つ親なら「うちの子供もできればこういうコースを進んで幸せになってほしいものだ」と願わずにはいられないような経歴である。
ところが、えいみさんは学生時代に麻雀に出会ってしまったのである。ネットで知り合ったボードゲームの仲間に教わり、たちまちとりこになった。
 
「麻雀を知って、人生が変わりました。もしも麻雀を知らなかったら、東工大の院を出た後は大企業に就職して、定年まで真面目に働いていたような気がします。でも、そうならなかったのは麻雀のおかげです」

竹書房にて

えいみさんの今の仕事はフレックスタイム制。基本的には10時から19時まで在宅で仕事をして、勤怠表をきちんとつけるが、8時間勤務をすれば多少ずれてもOKだ。

「コロナがきっかけで在宅ワークが中心になりましたから、基本的に会社には行かなくてもいいんです。会社の近くに住んでますけど、ほとんど出社してません」

ちなみに、山手線の近くで家賃は13万円。

「仕事のある日は朝11時に起きて、11時5分には仕事を開始してます。休憩1時間をはさんで家で8時間働いて、終わったら麻雀を打ちに行きます。一日平均5時間くらいですね。たまに朝まで打つことがあっても、帰って寝て11時に起きれば大丈夫です。
土日は休みなのでずっと麻雀です。月に150時間以上打ってますね」

あえて大企業ではなくIT系のベンチャー企業に就職したが、手取りは月約38万円と、26歳の会社員としては多い。それ以外に副業もしていて、その収入も月に10万~20万円あるという。
「麻雀をたくさん打っても、お金の心配をそんなにしなくてもいいのはいいですね。会社のお給料が麻雀で減るのは嫌ですけど、副業の稼ぎもあるので『今日も打ちに行こう』と思ったら気楽に出かけられます」
と、サラっと言う。
えいみさんの打つ麻雀はレートが高かった。
 

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