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 【詰め】“狙われるもんより、狙うもんの方が強いんじゃ”【佐々木寿人】

 Mリーグの新シーズンがスタートした。
 私は早くにチームから開幕戦の先発を言い渡されていた。
 佐々木―伊達の開幕ローテは、昨年と全く同じである。
 ところが直前にインフルエンザに罹患し、登板回避を余儀なくされてしまった。
 チームにも、代わりに先発となった伊達朱里紗にも迷惑をかけることになったが、そこは彼女のメンタルの強さがなせる業。
 見事にトップを持ち帰ってみせた。
 それだけに終わらない。
 二戦目の滝沢もトップで、チームは6年目にして初の開幕日連勝。
 病もふっとぶ最高の出だしとなった。
 
 ただ、テレビで見ながら一つだけ気になった点があった。
 それはこの日の二戦目、オーラスのことだ。

 45300持ちでトップ目の滝沢は4巡目、八をチーしてイーシャンテンと構えた。
 シャンテン数が進むし、場合によっては中が安全牌候補となるのだから当然と考える人もいるだろう。
 この鳴きで即赤⑤が食い下がったことは結果論にせよ、私にはやはり焦った仕掛けに見えた。
 仮にこの手が東4局のトップ目のものとして、この早い巡目から八を仕掛けることはないと言っていい。
 つまりは、オーラスのアガリトップだからこそ急ぎたいという気持ちが生まれるのである。
 自分が実際に滝沢の立場だったとして、この八を仕掛けたかどうかはわからない。
 だが、もし滝沢と同じ選択を取ったとしたなら、やはり焦りの気持ちが強いということになる。
 今局は結果から言えば、親の松本吉弘選手からリーチが入り、そこに追っかけた園田賢選手に対し一発目から松本選手の現物を抜いて、二巡後に3900放銃となって事なきを得た。
 しかしながら、試合後のインタビューでは滝沢本人もその一局について反省の弁を述べており、私自身ももう一度この類の仕掛けについて考え直すきっかけをもらった。
 そして私の今期初登板の日、東一局6巡目にこんな手になった。

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