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魔神の嫁のMリーグ応援記【早川林香】

無職の男が放った強烈な麻雀批判

初めて出会った時、彼は無職だった

いや、正確に言うと定職に着いていなかった。
わたしが今まで出会ってきた麻雀プロ達はみな、雀荘で働いているかどこかしらの一般の会社に所属している人ばかりだったので驚いたものだ。
どうやら話を聞くと、彼の収入は月に1度の闘牌監修と麻雀ゲーム「MJ」の対戦料だけだと言うのだ。

闘牌監修:渋川難波

まるでそれだけで生活しているかのように聞こえたが、正直に「貯金を切り崩して生活している」という事も話していた。
また、当時はMリーグは無く、解説にゲストにひっぱりだこという環境でもなかった。
彼は時間を持て余しているらしく話の流れでわたしが出演した放送対局を観てくれるということになった。
我ながら自信のあった対局だ、失敗も1.2個しかなかった。きっと褒められるだろう。
後日彼からの評価が届く

「全部見たのですが、良かった打牌が1.2個しかありませんでした」

麻雀でこんな風に厳しく言われた事は人生で初めてだったので、かなりの衝撃を受けた。
それが彼との出会いだった。

インディーズバンドがメジャーデビューした気分

しばらくしてわたし達は付き合うことになった。
有難いことに当時のわたしはたくさんゲストのお仕事も頂いていたので休みは無いが金銭的に困るという事はあまり無かった。
彼は気がつくといつの間にか働いていた。
それからほどなくするとMリーグが始まり、Mリーグ公式解説のお話が来て、働いていたお店も辞めた。彼はまた無職のような状態になった。

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