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衰えと向き合う【文・佐々木寿人】

 2000年を迎えた時に23歳かと、ぼんやり考えていた高校時代。
 それが早や、後三年で50の歳を迎えることになってしまった。
 「全然そんな風には見えないです」なんて言われることもあるが、やはり若い時とは何もかもが明らかに違うわけで。

 私が感ずる一番の変化は視力だ。

 最近、本をちょこちょこ頂く。
 しかしながらまぁ文字が小さく感じられるようになった。
 3ページも読むと目に疲労感が襲ってくる。
 ちなみにこの記事はWordという機能を使って書き上げるのだが、表示倍率は140%に設定している。
 
 打牌速度も遅くなった。
 昔の映像と比べれば一目瞭然である。
 反射神経も低下しているのだろう。
 麻雀を打つときの姿勢もまた然り。
 数年前に患った椎間板ヘルニアの影響もあるだろうが、背筋がピンと張れなくなった。
 「雀プロ老いぼれ日記」でも刊行しようかと考えるほどだ。

 そしてとうとう公式戦においても、大ポカをやらかした。

上家から①が出た。
当然ポンだ。
 ドラの④は切らないとすれば、②か⑦切りの二択である。
 ところが私は何を思ったか、⑨に手をかけていた。
 これではもちろんテンパイにならない。

 河に⑨がついた瞬間には気が付いているものの、これはボーンヘッド以外の何物でもない。
 「この馬鹿ヤロウ!」
 だが切ってしまったものはもう仕方がないので、ここからは気持ちの切り替えに努める。
 格好は悪くても⑨はチーだし、所詮指示牌のカン③待ち(⑦切りの予定でした)なんてそうそうアガれるもんじゃない。  
 ポンチー自在な分、結果的に上手くいくのでは。

 このようにとにかく幸せなお花畑のような脳内を作りあげたのだが…
 私の欲した手牌が変化するピンズは一枚も引くことはなく、海底が私に回ってきた。

 あれだけはやめろよ、あれだけは。

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