その後の相方改造計画【文・佐々木寿人】
今期のMリーグは準優勝に終わり、最強戦も二度のチャンスを頂きながら予選で負けた。
負けて帰る日の足取りはスキップするほどに軽やかなはずもなく、暗い夜道をどんよりとした気持ちで歩くことになる。
試合の日は家に着くのが12時を超えることが多いのだが、リビングに入ると妻がいつものように海外ドラマを見漁っている。
しかも今回のは二周目で、シーズン10まであるシリーズである。
(それ、前見ただろ?そんなのばっかり見てないで少しは麻雀の勉強した方がいいんじゃないのか)
最初の頃は口に出して言っていたが、あるとき全く時間の無駄であることに気付いた。
まぁ打つのは好きだが、観るのと何かを学ぼうとすることはあまりしない。
それでどうやって強くなろうとしているのか甚だ疑問ではあるが、こちらとしては何とかしたい気持ちもあるわけで…
6月中旬、久々に妻と麻雀を打つことにした。
「今日はどういうテーマで打つんだ?」
『別に考えてませんけど』
「自らに対する課題みたいなもんはないのか?」
『ヒサちゃんは何だと思うのよ?』
歩きながらの会話で、段々と力が抜けてくるのがわかる。
「押し引きとか、序盤の手牌構成とか、状況判断とか色々あるだろうよ」
『そういうんじゃないんだよね』
じゃあ何なんだよと聞き返そうかとも思ったが、打つ前からぐったり疲れそうでやめておいた。
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