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ドキュメントM テラガミタクロウさん 漫画家 42歳

テラガミタクロウさん(42)がこのたび、連載漫画「たびじゃん」の取材をすべて終えた。テラガミさんは2018年から「トップを取るまでその県を出られない」という制約を課して全国47都道府県の雀荘を巡り、その様子を近代麻雀に連載してきた。
2023年単行本の第1巻を出版。その売れ行きを気にしながら連載をどう締めくくるのかも気になるところだ。「たびじゃん」にまつわるいろいろなお話を聞いた。

目の前に袋をぶら下げられて日本一周へ

テラガミタクロウさんが「たびじゃん」の連載を始めたきっかけは、とある漫画家の麻雀大会で最下位になったことだ。

「ひとつ連載が終わったタイミングで金本さんと次になにをやるかの打ち合わせをしてたんです。それがちょうど麻雀大会でドベだった翌週くらいで」

そんな話を聞いたキンマの金本編集長(当時は副編集長)が
「じゃあ全国回って麻雀強くなる連載漫画を描きましょう!」
ということになった。

テラガミさんはもともと大阪生まれの大阪育ち。大阪で漫画の専門学校を出て、21歳でデビュー。
しかしその後は漫画家としての仕事がうまくいかずだらだらしていた。26歳のときに一念発起して東京へ。
長くアシスタント生活をしているところ、竹書房で仕事をしている漫画家さんから、金本さんを紹介された。

そして近代麻雀に連載したのが『符計算できないけどフリー雀荘行ったった』という作品。この作品が5話くらい続いたところで金本さんに
「15話たまったら単行本出せるかも」
と言われて頑張った。実際、この漫画は、キンマ編集部でのウケは非常によかった。

テラガミさんは振り返る。

「単行本を出してくれるという嘘なのか本当なのか、ニンジンが入っているのか入っていないのか分からない袋を目の前にぶら下げられて、
必死になって走ってたら日本を一周していた…、みたいな感じですね。袋の中には一本入ってましたね。1540円のニンジンが。」

「たびじゃん」のスタートは神奈川県。当初は取材費はなくて、移動の交通費も宿泊費も麻雀にかかるゲーム代も、すべて自腹でのスタートだった。

「軽い気持ちで旅打ちに出かけました。本当に自分が47都道府県を回るとは思っていなかったんです。
ところが、連載タイトルが決まった時に『全国制覇』という文字がついていて、あ、本当に本気でやるんだ……と思いました」

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