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自分が書いた文章が書籍化されるってどんな感じなのか【文・友添敏之】


ブログが日本で注目され出したのは2000年代前半なんですって。
そこから20年ほど経つうちにSNSがドバドバ生まれてきて、文字中心のモノでもツイッターやフェイスブック等々ありながら、今まさにあなたが読んでくれているノートもたくさんの人が利用している。僕自身もありがたいことにこうやって、たくさんの人に読んでもらえる機会をもらってるし、文章を書く、そして読んでもらうってのは作家さんや芸能人のような特別な人だけのものじゃなくなってきてる。
そんなことは友添、お前に言われなくてもわかってるよ!
って話なんやけど、なぜこんな書き出しをしているかっつーと…
「ネット上ではなく紙になって、手に取れる状態の“商品”として自分の文章を使ってもらえるってすごくない!?めっちゃ嬉しいよーー!!ウホウホ!」
ということを伝えたかったからだ。

突然ですが、7月3日に竹書房さんから「トップ1%の麻雀手筋」という本が発売された。著者はなんと友添だ。


「トップ率1%って低すぎん!?」とか「友添さんってトップ1%の打ち手か!?」とか、題名についてすでに色々ツッコミをもらっているが、これはベストセラーでシリーズ化しているビジネス本のオマージュなのです。
売れてる本のキャッチーなフレーズを拝借しようと金本さんが引っ張ってきたものなので、僕に責任はないということを始めにことわっておく。
皆さん興味ありません?本を出すってどんな感じなのか。どんな気持ちになるのか。実際どんなスケジュール感で進んでいくのか。ギャラはどんなもんなのか。
つーことで、今回のノートではこれらの疑問や興味に応える形で書いてみようと思う。

【まず、どんなふうに企画が始まるん?】

これについてはよくわからんのだけど、僕がこの話を受けたのは金本さんからだった。
「研究会について書いてくれてるノートをまとめて本にしませんか?」と連絡をもらった。
編集長だから独断できる権限があるのかもしれんし、ちょっとした企画会議をしてくれての上の話なのかもしれない。
1月11日のラインが残ってた。


「研究会ノート楽しみにしております!今年6月くらいに友添さんの本を出したいと思っておりますのでがんばってください。」
という内容だ。
これ見てもわかるように、金本さんは書き手を気持ち良く乗せてくれる。いや、編集者ってみんなそうなのかもしれん。いつもありがとうございます。
で、僕はそれにこう返している。
「やったーーーーー!ありがとうございます!」
確かにそう書いた。
そして嬉しかった記憶もある。ただもう1つ覚えてることがある。
それは、“なんかちょっと不安やな!ということだ。
素直に、諸手を挙げてバンザーイって感じではなかったのだ。実は。
だって普通そうやん?僕は麻雀プロだから麻雀を打ったり解説したり、講師をしたりちょっとしたコラムを書いたりしてる。
だけど、本を出すことに関しては完全に素人だ。
しかも麻雀プロにはもっと上位リーガーはいるし、立派なタイトル持ちの人もいる。そして何と言ってもMリーガーの方々が30人以上いる。
「俺がきちんとした本を書けんのか?そして何より、その本は売れるんか?」
と不安になるのが普通だろう。
割りと自信家の僕でもこれに関してはさすがにそう思った。
だから、実は出版に関しては前向き半分後ろ向き半分という気持ちだったのだ。
だけどね、それでもやっぱり引き受けることになった。その理由はシンプルだ。
「こんな機会二度とないかもしれん。せっかくの機会だからやるっきゃない」
ってこと。
このパートの題名に関するアンサーとしては、企画は(僕の場合は)なんとなーく始まるってことだ。こうして、今年始め頃にトップリーガーでもタイトルホルダーでもMリーガーでもない僕の出版プロジェクトが始まった。

【どんなスケジュール感なん?】


ここまで書いてから念のために金本さんとのラインを読み返してたら2022年9月13日のやり取りを発見した。

「お疲れさまです!麻雀プロの研究会は何をやっているのか?という書籍の企画を通しましたので、原稿どんどん書いてください。あと8回くらい書けばいいかなと思います。その前に、11月1日売りの近代麻雀の付録小冊子で載せたいので、あと2本を今月中に書いてもらえないでしょうか?それはnoteには載せず、付録小冊子だけで読めるものにします。そこに今までのを足して48ページの小冊子を作り、11月1日売りの近代麻雀でどーんと友添敏之を推したいです。」
あ、こっちが始まりでしたね(笑)
金本さんがここでも俺を乗せてくれてる。
書籍化のことも勿論嬉しかったけど、16歳で麻雀を覚えてから貪るように発売日に買って隅々まで近代麻雀を読み漁っていた僕にとって、憧れの雑誌の付録に取り上げてもらえるってのがめっちゃくちゃ嬉しかった。
こん時の興奮はハッキリ覚えている。
で、10月1日の0:28とに1本、10月1日の3:56にもう1本。
9月30日の深夜とも言える時間に、金本さんとの締め切り約束を守っているような守っていないようなギリギリのタイミングで原稿を提出した。
これが11月に近代麻雀の付録になった。家に届いたソレを見てすごく嬉しかった。
そこからさっきも書いた1月の話になったんすね。
金本さんのこのラインに「書籍の企画を通しましたので~」とあるので、やっぱり企画会議みたいのんがあって、それでスタートを切るんですね多分。
ザックリしたスケジュール感で言うと…

1月:本格的なオファーを受ける。竹書房にて対面での初打合せ。

2月:テキストで随時いろんな擦り合わせ。テーマごとの練習問題を数問提出。金本さんから「トップ1%の麻雀手筋」というタイトル案をもらうが僕はちょっと反対。

3月:VS研を金本さん視察。より具体的な打ち合わせを進める。良い対案が出せず、結局最初の案のまま本のタイトル決定。ちょっと書き進める。

4月:イラストを入れることに決める。4/15納期として練習問題の提出を求められていたが想像以上に時間が掛かり締め切りを大幅に破る。そのけんさんインタビュー。多井さんインタビュー。提出している範囲のもので配置が始まり、ちょっと本っぽくなる。

5月:練習問題も含めて、各パート毎に書いたものを金本さんに送る日々。チェックして打ち返してくれて、それをまた僕が打ち返すというやり取り。表紙ができあがる。ページ数が192で決定。とにかく書く。

6月:堀さんインタビュー。8日までに本文の締め切り。12日までに“はじめに”と“おわりに”が締め切り。21日に見本が数冊完成する。関係者の方々に送付。

7月:3日に発売。

全体の流れとしてはこんな感じだ。

印象的だったのは1月の対面初打合せ。
竹書房に行ったんやけど、九段下からちょっと歩いた綺麗な街並みの中、すんごい立派なビルの1フロア丸々がオフィスだった。
僕は正直驚いた。
近代麻雀は大好きやったけど、麻雀の専門誌をやってるってこと以外に竹書房のことを知らんかったからだ。ちょっと汚くて散らかったオフィスで、むさ苦しい男たちが机に張り付いて仕事をしていると思っていた。
タバコの煙がもうもうと立ち込めているものと思ってたけど、空気はきれいに澄んでいた。思ってたんと全然違った。
広々としてキレイなオフィスに打合せスペースもたくさんあって、出版物もたーくさん飾ってあって、僕の想像していた竹書房では全くなかった。(失礼やな笑)
そんなかっこええ出版社のオフィスで、僕は金本さんと打合せをした。
2時間半くらいだったろうか。オフィス効果もあって金本さんはいつもの3倍増しでカッコ良く見えていた。
こんなかっこええ場所でかっこええ編集長と出版の打ち合わせをしている。ハッキリ言って気持ち良かった。
作家さんってカッコいいっすよね。
そこに一歩足を踏み入れたような気分になってたんかな。とにかく僕はなんだかとても気持ち良かった。頑張って良い本にしようと思った。それともう1つ強く思ったことがある。
「この本は絶対に売れなきゃいかん」ってことだ。

【どんなことを思って書いたん?】

さっきから書いてるが“じゃないプロの書いた戦術本”だ。普通に考えたらそんなに売れない。売れたらおかしい。
だけど、そんな“普通”を押しのけて金本さんがくれたチャンスだ。
どんな手を使ってでも赤字にはできないなと思った。
質問の答えとしては「おもろい本にして、その結果絶対に黒字にする」ということを思って書いた。
正直なところコレだ。
なので、明け透けなところをこの初打合せで確認した。何冊で損益分岐点に達するかってことだ。

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