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「AIを使って打牌批判するのは危険!」将棋と麻雀 両方のプロである鈴木大介が鳴らす最後の警鐘

将棋界において、AIの存在は切っても切り離せないもの。
将棋AIに関して長く接してきた鈴木大介に、現在の麻雀AIについての見解を語ってもらった。


■将棋界と麻雀界、AIを用いた打牌批判について

 
-麻雀界ではAIでの評価が低い人をたたくシーンが散見されますがいかがですか?

まず、今の麻雀AIが完璧で万能かと言えば、必ずしもそうではないと思います。

将棋界でも「電王戦」のときにAIが、自分の感覚からはすごく違和感のある手を指したことがあったんです。
AIはその手が絶対に最善だと評価していたのですが、2〜3年後、その手は悪手認定されていました。
将棋のAIも日々進化しているので、そのときの最善が今の最善ではなかった、ということがよくあるんですね。
 
自分はそういう将棋AIの歴史を見てきていますし、同じことが麻雀AIでも起こり得ると思います。

具体的に言うと、今のAIと10年後のAIでは、10個の難しい局面があるとしたら、おそらく8個か9個は打牌選択が変わっているのではないでしょうか。

不完全情報ゲームである麻雀はそれだけ難しいものなので、今の状況で盲信的に「AIがこう言っている」「AI通り打てていないアイツはダメだ」と言っている人は、正直に言えばAIに対する知識が足りていないのではないかと思います。
あくまでもAIは、今の技術での最善を示しているだけですからね。

自分がAIを使って勉強するときは、その手を覚えるというよりも、自分が打ちづらい牌を覚えるようにしています。
麻雀を打っていて、「人として打ちづらい牌」ってあるじゃないですか、攻めでも、守りでも。

この間感心したのは、渡辺太プロ(赤坂ドリブンズ)が「人間として打ちづらい牌を打つ姿を見てもらいたい」というようなことを言っていたんですけど、それってまさに将棋指しがAIを取り入れるのと同じ感覚なんですよね。
太さんは将棋のほうも結構造詣が深いみたいなので、そういうことも踏まえての発言だったのかなと思います。

渡辺太


■AIで麻雀プロは強くなるが〇〇プロのような人はいなくなるのでは

 
-これからの麻雀AIってどういう形になっていきそうだと思っていますか。
 
すごく強くなると思います。
今までの10倍ぐらい、おそらく天鳳とかであれば、トップ率が40数パーセントになるんじゃないですか。

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