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ボチボチ遭遇するやつだけど、コレの答え合わせしてきた人って意外にいなくない!? 不思議な両面落としリーチの正体に迫る!【文・友添敏之】

これを書いているのは最高位戦B1リーグ最終節の4半荘目が始まる前。
そう、まさに年間リーグの最後の最後が始まる前の待ち時間中なのです。
水道橋駅と九段下駅と神保町駅を結んだ鋭角二等辺三角形のちょーど中心くらい、そこに最高位戦の道場はある。B1リーグ6卓のうち、5人回しの卓が2卓あるので、そこの最終半荘とタイミングを合わせるための待ち時間。
マイナス111.7Pで最終節を迎えた僕は降級ボーダーまで約150P。

昇給はほぼ不可能だけど、大きく負けなきゃ残留というポジションだった。

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「150Pも差があったらだいだたい大丈夫やん?さらに間に2人挟まってるから、僕がけっこう負けても他の2人も負けてたら残留やし。守備的に打ってたらそんなひどいことにならんだろーしね。」
なんてことは微塵も思わない。

他人の成績を見ている時の感想としてはだいたいこんな感じなんやけど、自分のこととなるとこうは思えないのである。
可愛い可愛い自分のことになると、万が一あるな、最悪のコレと最悪のアレが同時に起こったら余裕で捲られるな、おー怖い!ホント怖い!と思うのが人間だ。
とは言え、やることは変わらない。泰然自若の精神で構えて、最善と信じる行為を繰り返す。それしか僕にはできない。

ウダウダとこんなことを考えながらの対局の合間がこの時間。
道場から徒歩1分の場所にモスバーガーがある。

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そこでチキンバーガーのオニポテセットを頬張りながらノートパソコンをパチパチとやっている蝶ネクタイがいたら、それは間違いなく僕だ。それが10月30日ならもう絶対そう。
1回戦を35000点の2着で凌いで一息ついたかと思いきや、2回戦は親の隠れ役牌ドラ暗刻に放銃して22000点のラス。一気にヒヤヒヤになった。
迎えた3回戦。今や大スターであるMリーガー日向藍子プロが大爆発。1300-2600ツモ。4000オールツモ。18300ロン。と、東パツからたった3局で持ち点は65500点に。
18300点を放銃した山ちゃん(VS研も一緒にやってた山崎淑弥P)には悪いけど、ダンラスができたのは僕視点では嬉しかった。そこからは展開に恵まれて45000点の2着が獲れた。
だから!だから、今このノートを書けている。

そう、ホッとしたんです!
2着→4着→2着と来て、本日はちょいプラス。

まだ他の卓が3回戦まで来てないので正確にはわからんけど、これであと1半荘を残して多分ボーダーまで120P差くらい付けてそうだ。

100P負け以内に収めるのが最低限のテーマだったので、ここまでは上出来。
つーことで、2時間ほどある待ち時間を利用して今月末締切のノートを書こうと思った。
そんな上機嫌のわたくしなので、ここでさらにもう1つ追加のハンバーガー食べようか迷いながらパチパチやっている。


「んー、これってどんなケースがあるやろか?(あったやろか?)」
麻雀してて、手牌読みする時に頭をよぎるセリフ。
まず最初に、過去に何度かあったパターンを頭の中の引き出しを開けて「どんなんがあったっけな?」と思い出す。
過去のパターンで類似のものをすぐに思い出せないときは、「どんなんがあるかな?」と考える。情報が詰まった捨て牌や鳴きについては、このどちらかをやることになる。
今回、ちょっとだけ珍しいけどたまーに遭遇するやつ。だけどこれをめっちゃ掘り起こしたことってなかったな!意外や!というのがあったので皆さんにお伝えしたい。

かなり深堀した内容だし、麻雀やってたら必ず遭遇するケースなので今回は特に最後までぜひチェックしてほしい。

① 牧野くん、やるやん

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今回は“京都で麻雀強くなる会”にて、対局相手は現最高位かつMリーガーの鈴木優P、元最高位にしてA1リーガー坂本大志P、昇級を決めて来期からA1リーガー牧野伸彦P、A2リーガー飯沼P、そして友添(私)だ。

牧野くんは2013年の最高位戦関西本部発足からの同期。牧野くんも飯沼さんも僕も、ゆーたら関西本部のオープニングメンバーだ。

あの頃の牧野くんはまだ大学生だったかな、茶髪でフリー雀荘のメンバーをしていて、打ち方や風貌もちょっと生意気なガキンチョって感じだった。麻雀が強い印象もなかったし、実際にリーグ戦の成績もイマイチで何年もC3リーグに残留してた。

当時イキりまくってた僕は正直牧野くんのこと眼中になかった。
それがなんと、来期からA1リーガーになったのである。すごっ!
関西本部から初のA1リーガーだし、今は関西本部の事務局長もしてる。

何年かかけて親交が深まってくるとかなり良い奴なのがわかってきて、麻雀への取り組み方も真摯。それもあって、今は東京でも色んな人と一緒に勉強したり顔も広い。
先々月に最高位戦の選手紹介FACESという企画で僕を特集してくれたんやけど、そのインタビュアーに僕から牧野くんを指名したことからも、彼への信頼感が伝わるかなと思う。
研究会においても、基本を外さない確実な実力とセンスある視点が備わってるなと感じる機会が多い。
そんな牧野くんが先日こぼしたポロリ一言が地味におもろいしすごいなと思ったので、ちょっと紹介する。

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画像は南家のリーチに対して西家が放銃したところになってるが、見て欲しいのは右側に写ってる東家坂本さんの手牌だ。

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7巡目にこの形になっていた。

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七対子ドラドラのイーシャンテンで何切る?

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坂本さんは言った。
「北家がソーズホンイツ模様なのではアテにならない上に危険なのでツモ切りした。ほぼチートイツ一本なんだけど、ここまで自分の河は自然な形になってるから読まれづらくて好都合。3s4sも外したかったけど、ここでどちらかを切るとだいたいはソーズを河に並べることになる。ここで両面落としを見せると自分の変則手が読まれやすくなるのでそれも嫌だった。」
なるほど、と僕は思った。確かに、僕が座ってても同じようにするかもしれない。3s4sが重なれば、この河からチートイツを読むのはきっと不可能だ。
そこで牧野くんが言った。

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「これが45mだったらそうかもしれないけど、34sなら両面落としを見せても変則手だと読まれない可能性もあるかもしれませんよ。」
ん?と僕は思った。
「見た目8枚生きてる両面を落としたら普通は変則手に見えるけど、北家が染めてるこの局に関してはこの段階でソーズを外すのもちょっとだけ自然に見えるかもしれない。」
ということだ。確かに。

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