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鎧【文・佐々木寿人】

 第40期鳳凰位決定戦が幕を閉じた。
 初日を終え、私は▲65.3と大きく出遅れたが、残りの12戦で9トップをもぎ取り、大逆転での鳳凰位奪還を果たすことに成功した。
 自分で言うのも何だが、123.9差を三日で捲り上げた決定戦は近年見たことがない。
 これまで見てきた決定戦、そして実際に戦って肌で感じた決定戦から、初日で50以上マイナスすることの罪の重さは十分にわかっていた。
 だからこそ優勝を勝ち取った瞬間は、過去二度のものとはまた違った喜びがあった。
 一つ共通することがあるとすれば、それは一夜明けた時に頑丈な鎧をまとったかのような自信に覆われていることである。
 やっと終わったという解放感と、目標を成し遂げた達成感、そして体から漲る自信。
 辛く苦しい日は多くとも、この感情が全てを吹き飛ばしてくれる。
 いや、寧ろこの感情を得たいがために、我々は日々戦っていると言っても過言ではない。

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