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「麻雀も将棋も批判は自由」鈴木大介が打牌批判について語る

昨今、麻雀界では「打牌批判」がたびたび話題となる。Mリーガーをはじめ麻雀プロだけでなく、YouTuberなど一般人に対してもなされるが、その内容や物言いなど、嫌悪感を示す人も多い。
 
そうした中で、長らく将棋界で活躍し、2023年に麻雀プロ入り、Mリーガーとなった鈴木大介は、麻雀界で巻き起こる打牌批判をどのように捉えているのか聞いてみた。


「将棋界ではプロに対する批判はほとんどありません」

-将棋界における棋士への批判は、どのようなものなのでしょうか?
 まず、現代の将棋界ではAIによる分析が浸透してきていて、放送される対局ではAIによる期待勝率の分析がリアルタイムで見られるようになってきています。
そうすると、どの指し手が間違いだったかが、見ている側のレベルを問わず一目瞭然になるんです。その共通認識があるので、指し手に対していちいち何が悪かった、みたいなことは盛り上がりにくいところがあります。
 
じゃあ間違えた棋士が批判されるかというと、そういうこともでもありません。
将棋は麻雀と違って全ての情報が開示されている「完全情報ゲーム」であり、そのプロである将棋棋士は、アマチュアの人たちと比べると段違いの実力があります。そして、アマチュアの人がやってしまうようなミスを将棋棋士がやってしまうのは、人生を通して数回というレベル。
その前提があるので、将棋が好きな人たちは「自分が指さないようなすごい手を見たい」と思って対局を見ています。
なので称賛こそあれど批判はほとんどないですし、明らかなミスに関してはヒューマンエラーの部分が大きいので「ミスしました、すみません」で終わってしまうんですよね。その意味で、将棋界ではプロに対する批判はほとんどありません。

「麻雀も将棋も批判は自由」

-将棋の場合はプロになるために高いハードルがあります。プロの実力が担保されている、というところも大きそうですね?

 それはあると思います。将棋人口を見ると、全体の80%が段位を持っていない「級位者」と言われているんですね。級位者は駒の動かし方が分かって3手詰めが解けるかどうかがギリギリというレベルですが、それはプロであれば1秒で分かる程度です。
そして有段者で3段以上の層は視聴者の3〜4%程度と言われていますが、アマ3段とプロの将棋棋士である4段の実力差は、プロ側が飛車・角・香車抜きでやっと対等に、野球で言えば中学校の野球部とプロ野球選手くらいの実力差があると言われています。それだけ差があるわけですから、アマチュアの人が「これはこうしたほうがいい」というレベルには、競技の性質上、なかなかなりづらいですね。
 

-麻雀界と将棋界では、批判の質も量も全然違うのではないでしょうか?

 正直に言って、驚いています。

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