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プロ雀士超技巧伝・堀慎吾⑤「堀はリーチ宣言牌のスジか、あとスジか、どちらを切ったか」【文・須田良規】


<第23期雀王戦A1リーグ開幕!>

みなさんこんにちは。
日本堀慎吾研究会会長の須田良規です。
もう世間に心の中の会員も増えてきたことでしょう。

さて、ついに日本プロ麻雀協会の第23期雀王戦A1リーグがスタートいたしました。

2024年4月1日(月)の第1節開幕戦。
いきなり僕は堀慎吾と対戦です。

和やかな人たち。

今期からA1は16人で各選手均等に2回ずつ当たるようになったため、
堀くんとも2回しか打ちません。

もちろんみんな強い選手ですし、誰と打ちたいという希望などもちろんないのですが、
肌であの天才の麻雀を味わえる機会というのはやはり貴重ですね。

勝ち負けは度外視しても。

麻雀プロってのは不思議なもので、
相手が自分の想像を超えてすごいと嬉しくなっちゃうんですよね。
やるなぁって。

自分は負けたとしても、いいプレイも見たいという。
まあこれは人によるかもしれませんけどね。

ではでは、今回も堀くんの印象深い局があったのでその紹介をしたいと思います。
毎度毎度マニアック、しかし麻雀が好きなあなたの知識欲をいつも刺激してくれることでしょう。

<僕の手牌進行>

まず僕の手牌です。

3回戦の東4局西家ラス目、
まだ3巡目にしてこの手。ツモ1pと来たところです。

123三色が見えますので点棒状況的にもぜひ狙いたいところですが、
まだソーズは埋まっていませんし、1pがすぐアンコったらリーのみ進行もあるかもなぁ~と思って打西。

だいたい進んだら1p切りそうですけどね。

で、次巡にすぐツモ2s。

嬉しいですねぇ。

ここで1pを切りました。4巡目です。
浮いてる5sにくっついて伸びたら、4p連打してペン3pをアガりやすくしましょうかね。
だいたいみんなそう考えると思います。

なんかペン3p固定は抵抗ある人もいるかもしれませんが、赤のないルールは三色みたいな手役はとても重要ですので、こうなったら自然ですね。
すでにこの巡目にして場に2p2枚と5p1枚出ていますし、
ペン3p待ち自体も悪くなさそうです。

するとなんと次巡には望外の5m引きで即テンパイですよ。

5s切りで5巡目リーチ!

ペン3pですが全体の河も見て下さい。
2pが2枚、5pが3枚も出ています。すげえ極端。

僕のための場況、ペン3pでアガってくれと言わんばかりの河ですね。
さあ打ちなさい、君たち。
別に打っても悪いようにはしないよ。
(する)

さてこのとき確かに3pは山に3枚も残っていて、僕のツモ筋にあるかどうかはともかく、
出アガリもかなり期待はしていました。

6pを僕がツモ切ったところです。
アガリ牌の次に欲しかった牌ですね。

まあもちろんそんなスジだからといっておいそれと打ってくれるような面子ではないのですが、
ピンズのかなり安い状況ですしね。

現物のなくなった人からは3pは選ばれやすいところです。

<堀くんの手に現物がなくなった>

そしてそのままどんどん流局間際まで行き・・・

堀くんの手がこうなっていました。
堀くんは次のホウテイ含め切り番は2回です。

現物は僕の希望通り、手になくなっていますね。

あるのは僕がリーチ後に切った6pのスジでアンコの3pと、
リーチ宣言牌5sのスジでトイツの8sくらいです。

その2択。堀くんは2巡凌がなければなりませんのでどっちかにしそうですよね。

ちなみにこのときの捨て牌はこうなっています。

7sと9sがおあつらえ向きに3枚ずつしか枯れておらず、僕に5s切りリーチのカン8s待ちはしっかり可能性が残ってますね。

リーチ宣言牌のスジというのはむしろ危険なところですし、
僕が1pを先に切っている以上、ペン3pの方が考えにくいんじゃないでしょうか。

また3pはシャンポンがないですが、8sはありますね。

いやーこれは8sも切りにくいよ。どうなんだい!

上家の堀くんが長考しています。

<読まれることのマゾヒスティックな感覚>

僕はこのときいつもわかります。

読んでます。僕の待ちを。
そのロジックを組み立て、僕に打たないようにするには何が最善か、それを考えています。

僕はこの瞬間が好きなのです。

天才がどんな理由でこの放銃を回避するのか、
また放銃するときもたまにあるのですが、それは打った方がましという局面で、
当然その理由も説明を聞けばなるほどと思うことばかりなので、
その、堀ぽよ独特の思考の瞬間に立ち会えていることに陶酔しているのです。

もう何回こういうの読まれたかわかりませんわ。

すぱっ。
堀くんが選んだのは、リーチ宣言牌5sのモロスジ、8sの方でした。
1pが先に切られている後スジ引っかけの3pではなく。

結局僕のリーチは流局。

堀くんは僕の手牌を見て
「ふ~」
と思っているように見えます。わからんけど。

もちろん3pを止めて8sを打ったのか、この瞬間の僕には見えませんが、
ともあれ堀くんが何らかの思考を僕の捨て牌に落として、対応してくれたことはわかります。

それを体感できること、これがA1の醍醐味ですね。

<教えて堀先生!>

さてさて無論僕は対局終了後に配信を見返して、
堀くんが3pを止めたのを確認します。

これってどういう理由?8sの方がこわくない?
っていうか打ってよ3p!

いつものように聞くと堀くんは快く教えてくれます。
今回は1000文字くらいのLINEでした。
以下がその内容になります。有料です(笑)。
やってて良かった定期購読もおすすめです。

「須田さんは3巡目・・・

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