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都内で三人麻雀店がなぜ増えているか?【ドキュメントM】

1年で倍増

ここ1~2年、首都圏では三人打ちの麻雀店が増えており、現在東京・千葉・埼玉・神奈川で合計62店舗あり、そのうち30店舗が1年以内の新規オープン、もしくは四人麻雀の店舗へ三人麻雀の新規導入となっている(協力:麻雀王国

サンマ(三人打ち麻雀)と言えば地方出張に行った時に打つものというサラリーマンもいたのだが、今では会社帰りにちょっと打てる店がいくつもある。

なぜ、今、サンマの店が増えているのか。4年前に四人打ちから三人打ちに切り替えて成功している秋葉原MAPの茂川健(もがわ・たけし)店長に、現状と見通しなどをうかがった。

サンマにしたのは人件費のコスト削減のため

 秋葉原MAPがオープンしたのは2017年の9月。当初は四人打ちと三人打ちの2つのルールがあった。茂川さんは、最初は店長ではなく、一人の店員として働いていた。
 「MAPと言えば四人打ちの店として知られていましたが、フランチャイズでオープンするときに、いろんな客層を取り込もうということで、三人打ちも導入しました」
 しかし、約1年後に茂川さんが店を引き取って店長になることが決まり、店の形態を見直すことに。


 「四人打ちと三人打ちを併用しているとスタッフの人件費がかかりすぎるので、サンマに一本化することにしました。

フリー雀荘では、お客様が1人で来られた時にすぐ打っていただけるように、スタッフを待機させておく必要があります。四人打ちならスタッフ3人、三人打ちならスタッフ2人が最低限必要で、両方やっていると5人必要になります。セットで来られるお客様もあるので、すべてにきちんと対応しようとすると大変です。
 サンマだけにすると、麻雀を打つために待機するスタッフは2人でいいですし、単純に人件費が浮きます。浮いた分で、セットの対応をする女性従業員を雇ったりすることもできるのでサンマに統一しました」


 四人打ちのフリー客を失うことにはならなかったのだろうか?
「常連客の中で、『ヨンマしか打たない』という理由で来られなくなった方は何人かいます。それはさびしかったですね。でも、全体のお客様の数はそれほど減らず、むしろ増えていると思います。1年間、2ルールでやってみて、『ヨンマのお客様がサンマに移行して定着することはありうる』ということが、分かりました。ヨンマを打とうと思ってきたフリーのお客様に『今はサンマしか卓が立ってないんですけど、サンマどうですか?』とお誘いしてみて、『じゃあ打ってみるか』と初めて打った方が、『サンマもおもしろいね』と言ってサンマのフリー客になる、ということが何度もあったのです。その逆はほとんどありません。
 ですから、スタッフの人数も少なくて済むサンマだけにすることに決めました。やってみると、思った以上に好調でした。もともと黒字の店でしたが、サンマに切り替えた後もずっと黒字を維持しています。それほど簡単なことだとは思っていなかったのですが、案外やっていけてます」


 関西地方や東海地方には、昔からサンマのフリー店は数多い。しかし、首都圏ではその頃まだサンマを打てるフリー店は少なく、「駅至近のサンマフリー雀荘」は目新しかった。先見の明があったと言えるだろう。
 

優秀な従業員の確保が大切

 サンマとヨンマの大きな違いは、1ゲームにかかる所要時間だ。人数が1人減り、使う牌の枚数が減ることによって、時間はかなり短縮される。
「テンパイ連荘のヨンマだと、半荘1回に25~35分かかっていましたが、サンマにすると半荘が15分で済むようになりました。1時間で4ゲーム回るので、ゲーム代の収入が全然違います。ヨンマの売上も悪くはなかったのですが、人件費のことを考えると、サンマの方が利益率も高いと言えると思います」

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