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「てめえ、メンバーのくせにモロひっかけかよ!」文・長村大

 アラームが鳴る前に起きる、だが快適な目覚めとはとうてい言えない。クソったれのウイスキーとクソったれのワインのおかげで頭が重いが、寝る前に口に放り込んだビタミンCの錠剤がなければ、もっとひどい思いをしたかもしれない。もちろん錠剤だって、少しマシなだけのクソに違いはないのだが──ここ数日、少々体調をくずしており、その隙に大好きなジョー・R・ランズデールの小説をひととおり読み返したおかげで、文章が下品になっているかもしれない。
 なんとはなしに手の甲を見ると、カサカサに乾燥しており、まるで老人の手である。テキサスの砂漠を這いまわるサソリのほうがまだ、潤いのある肌をしているだろう。やつらの使っている化粧水のメーカーを今度聞かねばなるまい、東京に遊びに来たおりにでも。
 老いはいつからか、いつだっておれをぐったりさせにくる。肌の乾燥だなんて、そんなバカげた話はしたくないんだ。昔は……またそんな話か。

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