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私設Mリーグダービー⑩Mリーガーの通り名を考察してみた【平岡陽明】

それはデジタル高見の一言から始まった。
「菅原の〝清純派黒魔術師〟ってキャッチフレーズ、好きなんですよね」
高見は若干の変態だから、「清純派」という言葉に、グッと来ているのかもしれないが、まあ、そのことは放っておく。
 
すると一緒に飲んでいたメタボリック健が反応した。
「だったら浅見真紀の『守備を忘れた特攻シンデレラ』は、ほかになにか考えてあげないと。いまはあまり使ってないみたいだけど」
 
なぜそう思ったのか尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。
「むかし、渋谷の雀荘で、浅見さんとよく打ってた時期があるんですよ。強くて、めちゃくちゃいい人で、なにより頭がよかった。ボクが2回目に雀荘に行ったとき、『あ、〇〇さん、ちょっとだけ待って下さいね』って名前を覚えてくれてて感激しました。2回目ですよ? その人の通り名が『特攻』って、なんかイメージと全然ちがうなって」
 
言われてみれば、わが愛しのユーミンの「最速マーメイド」という通り名も、昔の雀風のような気がする。いまは最速に重きを置いてないから。やはり雀風が変わった場合、キャッチフレーズも変えたほうがいいだろう。Mリーグの熱狂がどんどん広がっていくなら尚更だ。
 
そもそも通り名というものは、ぴたっとハマったとき、なんだかよくわからないが、強いカタルシスを覚える。
 
私の好きな競輪でいえば、かつて佐賀に「鬼脚」と言われた井上茂徳がいた。鋭い差し足はまさに鬼脚だった。この井上の前で風を切って走っていたのが、当時、史上最強と謳われた「F1先行」の吉岡稔真だ。
 
時代に目をつけるケースもある。これはなんといっても「昭和」が強い。
昭和のフィクサーといえば児玉誉士夫だし、昭和の歌姫なら美空ひばり。昭和の文豪は川端康成、太宰治、三島由紀夫、開高健、司馬遼太郎、松本清張とたくさんいる。「平成の怪物」は松坂大輔だ。


ぐんと時代を遡れば、戦国時代の斎藤道三の「美濃のマムシ」
落語の名人だった八代目・桂文楽は、住んでいた地名をとって「黒門町の師匠」
将棋で一時代を築いた谷川浩司は「光速の寄せ」
最近のスマッシュヒットで言えば、タレントのヒコロヒーの「国民的地元のツレ」が秀逸。こんな地元のツレ、確かにいそうだ。というか、いる。
 
ということでわれわれは、Mリーガーの通り名について考察を始めた。
主なチェックポイントは、次の5つだ。
 
本人の雀風をよく表しているか。
本人のキャラクターをよく表しているか。
本人の麻雀界での立ち位置をよく表しているか。
誰でもわかる用語が用いられているか。
語呂はいいか。
 
これを次の4段階で評価した。
 
◎    ばっちり。一生ものの通り名でしょう。
○    よくできていますね。
△    もっとふさわしいものが、あるのでは?
✖️ 変えたほうがいいと思います。
 
ちなみにわれわれが酔っぱらって考察を始めた場所は神楽坂。
昼からやっていることで知られたバーだ。
マスターの通り名は「神楽坂のカクテル名人」
わかりやすくて、本人のキャラクターをよく表しているので、◎。
 
まずはみなさんにも、Mリーガーの通り名をざっと眺めて頂きたい。
そして頭の中で、◎や△をつけていってみて欲しい。
 
もう公式には使われていないものや、廃棄されたものも、念のため記してあるかもしれない。Mリーグファンの酔余の愉しみとして、ご容赦いただきたい。それでは見ていこう。


ドリブンズ

園田賢   麻雀賢者 卓上の魔術師
鈴木たろう ゼウスの選択
浅見真紀  守備を忘れた特攻シンデレラ
渡辺太   麻雀シンギュラリティ 

風林火山

二階堂亜樹 卓上の舞姫
勝又健志  麻雀IQ220 麻雀軍師
松ヶ瀬隆弥 繊細なる超巨砲
二階堂瑠美 天衣無縫 

サクラナイツ

内川幸太郎 手順マエストロ
岡田紗佳  完全武装アフロディーテ
堀慎吾   小さな天才
渋川難波  魔神 

格闘俱楽部

佐々木寿人 麻雀攻めダルマ 魔王
高宮まり  淑女なベルセルク 
伊達朱里紗 朱きヴァルキュリア
滝沢和典  麻雀バガボンド 

アベマズ

多井隆晴 最速最強 麻雀星人
白鳥翔  冥府の先導者
松本吉弘 卓上のヒットマン
日向藍子 ラブフェニックス 小さなビックマム 

フェニックス

魚谷侑未 最速マーメイド
茅森早香 天才すぎるオンナ雀士
東城りお ミス・パーフェクト
醍醐大  孤高の探究者 

雷電

萩原聖人  雪原の求道者
瀬戸熊直樹 卓上の暴君
黒沢咲   強気のヴィーナス セレブ
本田朋広  北陸の役満プリンス 

パイレーツ

小林剛  麻雀サイボーグ 麻雀ロボ
瑞原明奈 気高き女海賊 
鈴木優  戦闘民族
仲林圭  龍を継ぐもの

ビースト

猿川真寿 モンキーマジック
菅原千瑛 清純派黒魔術師
鈴木大介 二刀流ブルドーザー
中田花奈 純卓のインフルエンサー
 
さて、採点は終わっただろうか。
われわれが出した答えは、以下の通りだった。
 

◎    ばっちり。一生ものの通り名でしょう。

園田賢「卓上の魔術師」
鈴木たろう「ゼウスの選択」
勝又健志「麻雀軍師」
佐々木寿人「魔王」
小林剛「麻雀ロボ」
鈴木大介「二刀流ブルドーザー」
 
この6人に関しては、満場一致の◎だった。
先に挙げた5つの条件をほぼ満たしている気がする。
 
(↓5つの条件)
本人の雀風をよく表しているか。
本人のキャラクターをよく表しているか。
本人の麻雀界での立ち位置をよく表しているか。
誰でもわかる用語が用いられているか。
語呂はいいか。
 
強いてこの6人の共通点を挙げるとすれば、みんな雀風やキャラが際立っており、実績充分といったあたりか。小説のタイトルだって、こんなにばっちり決まることはない。見事なものだ。

◯ よくできていますね。

松ヶ瀬隆弥「繊細なる超巨砲」
二階堂瑠美「天衣無縫」
堀慎吾「小さな天才」
黒沢咲「強気のヴィーナス」
鈴木優「戦闘民族」
松本吉弘「卓上のヒットマン」
猿川真寿「モンキーマジック」
菅原千瑛「清純派黒魔術師」
中田花奈「純卓のインフルエンサー」
 
松ヶ瀬に関しては、メタボリック健がこんなことを言った。
「繊細っていうのはわかるんだけど、やっぱり『剛腕』に力点を置いたほうが納得いきません? 点棒が無くなってから戻してくるあの感じ、剛腕としか言いようがないですし」。私もその意見に賛成だ。しかし「巨砲」が「剛腕」の意味を含んでいるので、良しとしよう。あの見た目で「繊細」と入っているところがチャーミングだ。
 
瑠美の「天衣無縫」と、堀の「小さな天才」についても文句なし。◎でもいいかもしれないが、まだまだベストマッチなお宝的な通り名があるような気もするので、とりえあえず○としておく。ちなみに瑠美はあと10年したら「雀界のゴッドマザー」と呼ばれていそう。
 
黒沢も、この通り名がよく似合っている。私は「門前のヴィーナス」でもいいと思うが、いかがだろう?
 
優の「戦闘民族」に関しては、よく雀風を表している。語呂もいいので私は◎でもいいかと思ったが、健と高見の見方は違った。
 
高見「優はめちゃくちゃ場も見えてるし、攻めるだけじゃないですよね、鳴きもうまいし」
健「そうそう。だから戦闘民族って通り名がカッコ良すぎて、かえって優のほかの良さを隠してしまっているかも」
優が近藤誠一みたいに銭湯好きだったら、銭湯民族と掛けて◎だったか?
 
松本の「ヒットマン」は、彼の風貌だけに特化したネーミングではない。鋭い雀風も兼ねているので◯。
 
ビーストの3人も◯だ。大介の◎も含めて、さすが後発のビーストは、よくキャラ立ちした人を獲ったものだ。

◯or△ ありっちゃあり。

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