プロ雀士超技巧伝・堀慎吾④雀王決定戦で見せた凄い一人ノーテン(文・須田良規)
またまたこんにちは、日本堀慎吾研究会会長の須田良規です。
会員は随時募集しています。
さて、2023年11月12日(日)に行われました、我が日本プロ麻雀協会の最高タイトル雀王の第22期決定戦で、仲林圭が優勝。
初の雀王戴冠となり、多くの方の感動を呼びました。
もちろん仲林の実力は周知の通りで、その完璧な押し引きや手組みバランスは誰もがお手本にしたいところです。
ところが優勝のインタビュー時に仲林が開口一番語ったのは、
「堀さんが強くて強くて・・・」
という最後まで雀王の座を争った天才に対する賛辞です。
今回は、仲林が心からそう思ったという奇跡の一局の話になります。
先に申し上げておきますと、これはその日のインタビューまでご覧になった方はご存知の内容です。
しかし、私自身がこの麻雀を詳しく記録しておきたかったこと、
また当日決定戦の様子を見られなかった方にも、その戦いの素晴らしさを知って欲しいのが今回の記事を書く理由になります。
最終戦を迎えた時点のスコアはこんな感じです。
堀がトータル首位、43.4p離れて仲林が2位です。優勝は二人に絞られているといっていい状況ですね。
堀は3400点差の仲林トップ、もしくは2着順差を避けなければいけませんね。
東1局、親番の仲林はドラ表示牌のカン8sをチー。
ダブ東バックで発進です。
すぐにカン4pが埋まって打1pの後、
南家から2mをポンして打6mのテンパイになります。
7mと東のシャンポン、もちろん東でしかアガれませんが5800か2600オールと協会ルールではなかなかに高打点です。
これが8巡目のことです。
他家から見ればこのとき東も白も発も中も場に出ていないので、仲林が役牌バックだとしてもどれだかわかりません。
この仕掛けの数巡後、北家堀くんがこの手でションパイの白を切ります。
ノータイムです。クイックリー。
何これ?舐めプですか?
白だけじゃなく発も浮いてますが両方切るってこと?
そしてこの後なんやかんやと進んで終盤。南家浅井くんも西家やじーもテンパイしています。
で、堀くんの最終手番。
もうツモ番もなく一人ノーテンは明白そうです。
白と中が場に打たれており、ションパイの役牌は東と発ですね。
ひょい。
ここであろうことか打発ですよ。
まるっきりの一人ノーテンから。なんなんですかこれは?
発は浅井くんがアンコでしたので、誰にも声はかからず通過。
堀ぽよは一人ノーテンで流局です。
この局めっちゃ違和感ありましたよね。
ここでの堀くんの打牌、それが仲林の称賛の理由と、僕の記録に残したい話の内容になります。
堀くんが白を切るときの仲林の捨て牌はこうです。
2mポン打6mのテンパイ以降はもちろんツモ切り。
仲林がポンテンだとすると、では最後の6mは何なのか。
何か役牌がアンコだとすると667mからでリャンメン待ち。
ところが8mがツモ切られたのでそれはないですね。
役牌アンコで677mから打6mで他の役牌とシャンポン待ち。これはあるかもしれませんね。
では役牌のバックなら、677mからシャンポン待ちで役牌の方でしかアガれない片アガリ。
実際にはこれでした。
この形こそが、堀くんの打牌理由だったのです。
ここから先は
¥ 150
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?