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夢舞台が終わった…と思うでしょ普通は!【文・友添敏之】

僕が考えたのは手段だけだった

今これを書いているのは京都、河原町五条の自宅から。
12月14日の夕方。最強戦ファイナルのマジのファイナル、12月11日の激戦を終えてから3日後だ。

知ってくれている人もいると思うけど、僕は最強戦2022で3位になった。数千から数万人いるという日本最大の麻雀タイトル戦でわたくし友添は3位になった。すごい!!

ではない。優勝も目の前に見えていたところでそれを逃した。負けたのだ。お疲れっす!

翌日は東京で大会に出場した。
翌々日は渋谷オクタゴンさんゲストを終えてから終電間近の新幹線に飛び乗った。
そして今日。
起きてから弊社社員キャプテン清水とミーティングして、次にマールデリの企画ミーティングをしてから、また別の打合せを2つしてきた。
ほんで今、パソコンを開いてこのノートを書いてる。

完全に日常が戻ってきた。

麻雀Pottiのオーナーとして、株式会社友添商店の社長として、今までやってきた仕事をまたゴリゴリとやっている。
こんなふうに書くと、
「そうだよね。最強戦という大舞台で負けてしまったら急に日常に戻るよね。」
「夢のようなチャンスを失って戻る日常はたぶん寂しいよね。」
と思う人が大半だろう。
うんうん。
でも違うんだこれが。

実は、今になっても不思議なんやけど、最強戦出場オファーをもらった春からの半年ちょい、僕は一切夢見心地になっていなかった。
地に足を着けていた。
だからなのか、物凄いスポットライトの当たるあの場所から降りて日常に戻ってきても気持ちの上がり下がりが全くない。
あまりに普通に時間が進んでいることに気付いた。めっちゃ普通の時間を過ごしている。

ファイナルの最終打牌をして、瀬戸熊さん連覇の瞬間をこの世でナンバー1の近距離で観ていた3人のうちの1人である僕がどんな景色を感じていたのか。
それを書いていこうと思う。
最強戦出場が決まったところまでのストーリーは以前書いたのでそれ以降のことを。
最強戦2022について、僕が心に決めていたのは2点だけ。
“目的に対する手段を明確化する”ってことと、“実行は平然に”ってこと、これだけだった。

「出場枠に選んでもらう方法というか基準があれば教えて欲しい」というDMを送ってから5か月後に、ノート書きませんか?と金本さんからありがてえありがてえ連絡をもらった。

そしていくつかのノートを出させてもらっているうちに2022年4月26日の夜、黒木さんから突然ラインをもらった。
「7月23日、男子プロ魂の一打。多井隆晴、三浦智博、松ヶ瀬隆弥、内川幸太郎、近藤誠一、勝又健志、堀慎吾、この卓に金本さんが推薦しています。スケジュール空けておいてもらえますか?」
とのことだった。
「開ける開ける開ける開ける開けるっ!!」
と思ったけど、そこは僕も大人なので、
「ありがとうございます!絶対出たいです!」
とシンプルに返した。

ここからはもう作戦(手段)を考える日々だった。しかしここで指す“作戦”とは、一般的に想像されるものとはちょっと違うかもしれない。
僕が考えた作戦は麻雀の試合についてのことじゃなく、最強戦という超大舞台で自分がどんな方法で何某かの結果を残すか、最強戦にどんな形で貢献して盛り上げられるか、この2点の手段ついてだった。

手段①宣材写真~真っ黒な理由

まず僕は最強戦用の宣材写真を撮りに行った。知り合いのカメラマンさんに頼んで、できるだけ暗く黒く、ヒールに写るようにした。
その結果がこの写真だ。

そして運営さんから上がってきた告知画像を観て小躍りした。狙い通り僕だけ色が違う。かなり悪そうだ。

(三浦さんには悪いけどちょっと一旦置いといて…)Mリーガー6人はヒーローだ。最強戦を観る人はみんな知ってるだろうし、それぞれに多くのファンがいる。
そこに最高位戦の一中堅リーガーが地方からノッソリやってきて気付いてもらえる訳がない。
「一生懸命やります!」みたいな顔して誠実が売りの壮年みたいな顔して現れても、気付いてもらえなきゃ観てもらえない。それじゃ意味がない。
ただ、実力も知名度もあるすごいメンツ、ヒーロー6人が相手だから逆に美味しくもある。ヒールになれば一気に目立つよね。
僕は写真だけじゃなく、あらゆる局面で優等生であろうとするのを捨てて、(反感を買ったり、先輩への失礼に当たらない範囲で)ヒールとしてアピールしていくことに決めたんす。

手段②入場シーン~40秒で何ができるか

そうしながら次は入場シーンについて考えた。
ご存知の通り、最強戦には選手一人一人にけっこうな尺を使った入場シーンがある。この意味をどんだけの選手が考えてきただろうか。
なんとなーく入場してきてなんとなーくの決めポーズをする時間、そんなふうに考えてるだろなーこの人はってプロが今までたくさんいた。
もったいなすぎー!
そして視聴者様への敬意なさすぎー!!

と僕は思っていた。
麻雀を打つことしかできない、僕も含めてほとんどの麻雀プロは麻雀以外に関してはホントに凡才だ。
その凡才がただただ入場するのを観せてどうすんのか。
照れながらなんとなーくのポーズをして意味あんの!?
僕はそう思っている。
いやそんなことないわ!って方には聞いてみたい。
最強戦入場シーンって何秒あるか知ってますか?
僕は知ってる。
40秒だ。

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