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最強戦の敗戦【文・長村大】

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 南の2局、すでに劣勢である。手痛い放銃もあった。だが、これをアガれればまだわからない──だがそう思えたのは、おれのツモ切った牌に醍醐大プロから声がかかるまでの、僅か数十秒であった。
 それでもまだ、ラス親がある。

 大昔をのぞけば、おれにとって3回目の最強戦である。もちろん緊張はある、それでも少しは慣れてきた。入場のリハーサルも特に問題なく終わり、予選A卓の試合を控室前のフロアで見ていた。星野信夫さんや金本編集長をはじめ竹書房のスタッフ、司会の小山剛志さんなどお馴染みのメンツもいる。
 隣では黒木プロが無限に阪神タイガースの話をしている。ラインバックっていくらなんでも古すぎるとは思うが。
 モニターの中のA卓では、鈴木大介さん──数時間後に優勝することとなる、今大会唯一のアマチュア選手──がぶっちぎっている。それを見ながら、ああでもないこうでもないと喋る我々。
 リラックスできているな、と思った。あるいは少しリラックスしすぎているかもしれない、と自覚できる程度には落ち着いていた。

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