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勝負師~episode5作家・白川道【文・荒正義】

麻雀に一番必要なのは、腕ではない。負け役を、何人揃えることができるか。これが大事だ。


作家の白川道さんとの出会いは1997年。私が45歳の時だった。
親友の社長が、電話で言った。
「生意気な奴がいるから、来てくれ!」
というのだ。
その社長も、麻雀の腕は確かだった。石田というが、これが強くいわばどこでも勝ち組である。
生意気な…は冗談で、あと一人がどうしても揃わないのだ。4人がいないと麻雀はできない。
その寂しい気持ちはよくわかる。
私は、麻雀劇画の原作が済んだ後なので、了解した。
個室のある赤坂の雀荘に行くと、初めて会う2人がいた。
それが白川道と藤原伊織(作家)さんである。石田はボクの3歳下だ。しかし、他の2人はどう見ても5歳以上、上に見えた。
名を言って挨拶を交わしたが、初めて見る顔なので職業までは知らない。
レートは点5(5000円)で、馬が10万と20万だという。
バブルは弾けたというのに、いきなりこれである。
箱テンで35万だ。赤と一発と裏が5000円の祝儀だから、飛ぶと40万は超える。
 

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