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魔神の父のМリーグ観戦記 2022年11月7日

文・渋川難波の父

 半年ほど前まで、我が家の夜は平和だった。
 週何回かではあるが、19時になると妻と二人で渋川難波解説のABEMAのМリーグを見る。
 妻はニコニコして「あっ、髪染めてる」「今日のメガネおかしいね」とわいわい騒ぐのであった。
「あれっあの人すごい‼ポンしてチートイツあがっちゃった‼(んな馬鹿な。トイトイと間違えてるわ)」など御愛嬌の会話もふんだんに出て楽しいひと時を過ごせるのである。

 それが7月、ドラフトで渋川難波のМリーグ入りが決まってから、平和な夜は一変した。
「今日渋川出るから応援せにゃいけんね」と私が言うと、妻は「怖くてよう見ん」と別室に行ってしまう。
 しかたなくテレビを見ている私が別室まで行って途中経過を妻に報告するのだ。

 でもまあ、第1戦第2戦、連続2位でスタートしたころはまだよかった。分岐点になったのは第3戦オーラス、魚谷さんから単騎の直撃を受けてラスに落ちた時。
 妻に報告すると、彼女は本当にショックを受けたようで黙り込んでしまった。
 次の日も元気がない。
 聞くと一晩眠れなかったという。
 そしてその後も渋川の成績は思わしくない。

 妻はとうとう彼の成績が悪いのは私が応援しているからだと言い出した。

 これは今に始まったことではない。
 私たち二人はカープファンなのだが、中でも妻は大瀬良投手の大ファンである。しかし大瀬良の投げる試合は怖くて見られないという。私は見たいわけだからそこでもめる。
 何とか妻を説得してテレビをつけるが、その瞬間大瀬良の投げた球はバックスクリーンへ。
 その時の私をにらむ妻の目の恐ろしさと言ったら・・・。
 そしてお説教が始まる。

「今大瀬良どうなった?」

「ああ,ホームラン打たれたね」
「前にあなたが無理にテレビつけた時はどうだった?」

「確か逆転の二塁打打たれたな」

「ちゃんと覚えているのね。なのになぜまた同じ過ちを繰り返すの?あなた何も学んでないじゃない‼」

「・・・・・・・」

 ということで、この11月7日(月)の第1戦も、決して見てはならないものだったが、私としては先週内川さんとさんがよもやのラスをひいた中での、サクラナイツとしても大事な一戦。

 渋川は必ずトップを取ってくれるだろうと思い、自室のパソコンでこっそり観戦し「ほら俺が応援したからトップが取れたんだぞ」と妻に誇らしげに報告しようという魂胆であった。

 しかし結果は大変なことになった。

 東2局、山に6枚残りのメンピン赤の36p待ちがあがれなかったのを皮切りにとんでもないことが次々に起こる。

 東3局、メンタンピンドラ1で山に3枚残りの58sが、たろうさんの山に2枚の単騎に負けたのはまだかわいい方で、その後、勝負手のリーチ後にラス6sやラス2sをつかまされての放銃には何かマジックショーでも見ているような奇妙な感じさえ覚えた。

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「名解説者渋川難波にМの洗礼‼」

「怒っているだけじゃだらしないぞ‼」

などの解説の日吉さんの叫びも、まるでショーのバックミュージックであるかのように感じられた。

 ただし一つひとつを吟味すると、やはりいくつかの分岐点はある。

 私が「?」と思ったのは、鈴木優さんのリーチを受けた後、親で58m待ちの追いかけリーチを敢行した東2局1本場。5mはリーチの現物で、場には5m4枚8m1枚が切れていた。

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 少しへんな言い方だが、このリーチは渋川には似合っていないと感じたのだ。

 解説の土田さんも話されていたように、闇で待っていれば臭いとは感じていても、ぽろっと8mがこぼれることはある。「ノーマーク爆牌党」の鉄壁のように、それをじっと静かに地味に待つのが渋川流ではなかったかと私は思ったのだ。

 以前の試合で、3pをつもあがったがリーチをかけていれば6000オールだったとの後悔がそうさせたのか。

 あと、この戦いで印象に残ったのは、鈴木優さんの打ち方である。

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