#4
中学生の時にソフトボール部に入った。
帰宅部が許されない厳しい中学。
でもやるなら運動がいいと思っていた。
思春期だったし太るの嫌だし。
何より父が喜ぶと思った。
息子が欲しかったのに娘ばかり産まれた我が家。
父が近所の子と公園でキャッチボールをしているのを見たことがある。
きっとお父さんはこれがしたかったんだろうな。
そうやって小さい時に思った。
だから入るならソフトボール部しかなかった。
野球部に女は入れなかったから。
クラスの友達と連れ立って入部した。
入ってみてびっくり。
お盆以外全部練習。一日練習。
先生は怖い。先輩も結構怖い。
日焼け止めは塗っちゃダメ。
水分補給も時間はわずか。
小テスト落ちたら部活できない。
今じゃ考えられない世界だった。
そんな中でホッとできたのは同学年のチームメイトたち。
みんな優しくて部室がとても楽しかった。
そしてお父さんとのキャッチボール。
最初はヘロヘロな球しか投げられなかった。
もっと上手くなるしかない。
部活には休まず参加した。
中学2年での新人戦。
初めてのレギュラーは背番号4のセカンド。
試合はボロ負けでも、日々の練習のおかげで様になってきたキャッチボール。
久しぶりにお父さんとキャッチボールをしたら、球のスピードが上がって強くなったと褒めてくれた。
嬉しかった。
部活を通して私は親孝行をしたんだ。
そう思えた。
私にとっての誇らしい番号。
みんなは「4」っていう数字、嫌うかもしれない。
でも私にとっては大切な背中の守神。
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