きんじょの本棚®通信 [Vol.8] 表現の芽をはぐくむ文庫店と銀の架け橋(昭和⇔未来)店
このメールはきんじょの本棚®店主限定で配信したメルマガを編集したものです。
(配信日:2023年11月6日)
きんじょの本棚®通信 [Vol.8]
きんじょの本棚店主の皆さん
こんにちは。きんじょの本棚メルマガ編集部です。
きんじょの本棚通信では全国の本棚の様子、店主のお人柄、体験や工夫、イベント情報などを共有することで、皆様の本棚活動の一助となればという想いで編集しています。お時間のある時にお読み頂ければ幸いです。
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きんじょのラジオ 略して!きんラジ 第1回(公開日2022.5.02)
10台、30代、50代店主による、よもやまトークをお楽しみください。
今回の内容は
■きんじょの本棚リレー店主紹介 No.8
紹介者:No.32 のづたやくしどう店【東京都町田市野津田】
紹介する本棚:No.193 表現の芽をはぐくむ文庫店【東京都町田市南成瀬】
こんにちは。#32のづたやくしどう店の矢田です。
前回、「いつかゆっくりお話ししてみたい、と思っていた増田さんにインタビューしてもらえるなんてラッキー!」と取材をお受けしてしまった後でリレー形式だと理解して、さて次はどなたに…と悩んでしまったのですが、せっかくなので11月11日の「きんじょの本棚まつり」にちなんだ方にしようと思いつきました。
お伺いしたのは♯193「表現の芽をはぐくむ文庫店」店主であり、「狂言普及活動家」といういかめしくもミステリアスな肩書を持つ福富さん。本棚まつりでは「狂言普及LIVE」と銘打って、野津田薬師堂の本堂で狂言の楽しさを目一杯伝えてくれますのでお楽しみに。
普段の話し方は丁寧でしっかりとした印象なのですが、話が狂言に及ぶとスイッチが入り「ワーッと」「ドドドッと」といったオノマトペがふんだんに飛び出してきます。
ご自宅にお邪魔すると、玄関に入った瞬間にレモンユーカリの清々しい香りが出迎えてくれます。手を洗い上がらせていただくと、リビングをよもぎ蒸しサロン(※1)として開いているそうで、清潔でくつろげる空間が広がっています。ソファに腰を下ろすと「足湯しませんか?」と思いもよらない一言。何にでもすぐ甘えてしまう性質の私はそそくさと靴下を脱ぎ、よもぎを煮出したお湯に足を浸からせていただきました。(本当は女性専用だそうです。世の男性方、どうか恨まないでください)
以下、よもぎ足湯のぬくもりと香りに足も心も緩めてもらいながらのインタビューです。
矢>きんじょの本棚を始めたきっかけは?
福>「町田市100人カイギ」(※2)に参加させて頂き、「今の時代に合ったコミュニティの在り方で面白い!」と実感。
「きんじょの本棚」にも同じような面白さを感じ、妹とやっている「表現の芽をはぐくむ会」(※3)として参加したいと思いました。直感型の私と慎重派の妹。二人で相談しましたが、本棚の方針が決まらず、しばらく足踏み。ある時ふと機が熟して「とにかくやってみよう!」と、一歩足を踏み出しました。
矢>始めてみて、どうでした?
福>いざ本棚に並べようと思うと、自分の本を手放したくない気持ちが出てきて戸惑いました。少しずつ、本棚用の本を集めているところです。今のところ、「表現の芽をはぐくむ会」の開催日(12/2まちカフェ!)や、よもぎ蒸しサロンの開店日に本棚を置く予定です。また、他の本棚の店主さんの情報も入ってくるようになり、「あ!私がやりたいと思っていることを、既に実現している方がいらっしゃる!(港北区の空吹きチャーリーさんなど)」と、とても刺激をいただいています。本棚を通して御縁を紡いでいきたいです。
矢>ところで、あらためて福富さんってどんな方なんですか?
福>古典芸能・狂言の魅力を一人でも多くの方に知ってもらいたくて、小学校、幼稚園などの教育機関や高齢者施設など、あらゆる場所に出向き、全員参加型の「狂言講座」を開催して十年になります。この講座をきっかけに、能楽堂に足を運んでほしいという思いを込め~能楽堂への架け橋~というサブタイトルNo.193 表現の芽をはぐくむ文庫店をつけています。
実は、私の狂言のファーストインプレッションはサイアクだったんです。(笑)小6の国語の授業で聞かされた狂言のカセットテープは、今あるようなデジタル機器とは違って音質も悪く、何を言っているのかも分からなくて。「こんなの全然面白くなーい!」と言って担任の生を困らせていました。(苦笑)。それが、高3の時に学校の芸術鑑賞会で狂言を見に行くチャンスがあり。行かない!という私に母がポソッと「狂言なんて、一生に一度見るか見ないかなんだから、行けば」と。しょうがないなあと思いつつ観に行ったところ、雷に打たれたほどの衝撃を受けて、一人で椅子から転げ落ちてしまいました。「こんなに面白いものが世の中にあったなんて!」と、感動してしまったんですね。
矢>で、実際に狂言の稽古を始められたのは?
福>大学に入学したら、そこに偶然、芸術鑑賞会の時に舞台に立っていらした野村萬斎師が講師を務める狂言のサークルがあり、即日入部しました。大学時代は仲間たちと夢中で稽古に明け暮れていましたね。卒業して社会人になってからも稽古は続けていたのですが、師が超多忙で、また、私自身のライフステージとの兼ね合いもあって、しばらく狂言の稽古をお休みすることに。
それが、次女が幼稚園の頃、園長先生に「年長さんに狂言について教えてほしい」と頼まれました。最初は「無理です~!」と固辞していたのですが、せっかくだからとチャレンジしたところ、子どもたちが目をキラキラさせながら楽しんでくれて。また次回もお願いします、と言われ、続けるうちに、近隣の小学校や中学校、市外にも口コミで広がっていきました。
狂言の魅力を伝えるためには、稽古を受けて私自身を磨いていないと、その熱量を臨場感を持って伝えることができない!と痛感。稽古再開のお願いを萬斎師に速達で送り、さらに師父にあたる野村万作師にも送り、お許しをいただきました。
矢>速達?!
福>はい。大切なことはお手紙でお伝えする文化なんです。(笑)
それから10年間、万作師(現在92歳!の人間国宝)に師事して、今も月3回、ビシビシと稽古を受けております。
振り返ると、稽古を再開したころは子育てで忙しい時期だったと思いますが、お稽古の日になると「行ってくるから!」とサッと出掛けていましたね。
矢>お稽古が、日常から切り替えるリフレッシュのスイッチになっていたような…。
福>はい。子育てに没入していた私が「自分自身」に戻れるきっかけにもなったと思います。私は元々、狂言師になりたいぐらい稽古に打ち込みましたが、残念ながら女性には門戸が開かれておらず。生きている意味が分からなくなった苦しい時期もありましたが、きっかけをいただいて狂言の普及活動を続けていくうちに、自分がやりたいのは多くの人に狂言を知ってもらうこと。狂言の楽しさを、「私」を通して体感してもらうこと。それが伝えられれば十分!と気づいたんです。ずっとこだわり続けていたことが、ここ最近で急に吹っ切れました。私の夢はいつの間にか叶っていたんだなと。
2020年には狂言研究会の先輩にあたる福田成生(ふくたしげお)さんも名乗りを上げて下さり、今では「狂言普及活動家」の”ふくふくコンビ”として活動しています(※4)。
矢>今後の目標とかありますか?
福>実は私は、狂言を始める前までは引っ込み思案な性格でした。狂言を演じることで私自身の心の扉が開いたように、少しでも多くの人に狂言の大きなエネルギーに触れてもらって、心の扉をノックし続けたいです。町田市の小学校全42校に回るのは、一つの大きな目標ですね(現在6校)。
また、老若男女どなたでも学びながら楽しく集える「場」を作りたいとも思っています。学びといえば、私自身「子どものプロ」になりたくて、保育士の試験に独学でチャレンジして2022年に資格を取得しました。
矢>え、若い時に保育士をやっていたんだと思ったら、去年じゃないですか。すごいなー!
福>今は諸活動と並行してベビーシッターもやっています。子どもの姿を間近に観察することで、子どもが喜ぶこと、楽しいと思うことをしっかり吸収させてもらっています。それが、狂言の普及活動や「表現の芽をはぐくむ会」の子ども版にも生かせたらと思っています。
パワフルでしっかりしていて、さらに瞬発力のある福富さん。その根底には狂言と出会った時の「心が震える」経験があるのだと、ひしひしと感じました。ぜひ福富さんの活動や発表の場に足を運んで、皆さんも心をビリビリと震えさせてくださいね。
店主おすすめの本
『野村萬斎 What is 狂言?』 檜書店
No.193 表現の芽をはぐくむ文庫店
※1 よもぎ蒸し温活サロン「フィオレッタ」(完全予約制)Facebook
※2 町田市100人カイギ https://www.facebook.com/machida.100.kaigi
※3 表現の芽をはぐくむ会 https://hagukumukai.amebaownd.com/
(俳優の妹・円地晶子(えんじあきこ)と姉妹で主宰している演劇表現広場)
※4 狂言普及活動「狂言講座」Facebook
■きんじょの本棚店主寄稿 No.140銀の架け橋(昭和⇔未来)店 店主A
銀の架け橋(昭和⇔未来)店は、町田市森野にある公共施設「わくわくプラザ町田」の1階にあります。
本の提供者は町田市シルバー人材センターの会員です。読書好きの会員たちが「おすすめの1冊!」を提供し、今では150冊を超える本が集まっています。
店名には、「本が【架け橋】となって、世代を超えてつながりたい」という思いが込められています。昭和世代のシルバー(銀)会員からのおすすめを発信するのと同時に、若い世代からも教えてほしいという気持ちを、双方向の矢印「⇔」で表しています。
先日とある方から、「小学5年生の教科書に掲載されている『大造じいさんとがん』という本が、孫との会話のきっかけになった」というエピソードを聞きました。そんなふうに、本が世代を超えた共通の話題になったり、普段読まないジャンルの本に挑戦したり、お孫さんが読書を好きになったりする、きっかけの一つになるかもしれません。当店の本棚が、その世代間の「架け橋」になればと願っています。いま、当店の本棚に、小学3,4年生の課題図書である「最後のオオカミ」という本が他店からまわってきました。本と人が出会い、ここからまた新たなエピソードが生まれていくと思うと、わくわくします。きんじょの本棚を始めたことによって、このように世代間の交流が実現できていることを、とてもうれしく感じています。
銀の架け橋(昭和⇔未来)店のほとんどの本には、「本のバトンカード」がついています。表(おもて)面には提供者からのおすすめポイントが書いてあり、裏面には、次の読者に「バトン」をつなぐひとことを書けるようになっています。 “旅をしてきた本”が本棚に戻ってきたときに、バトンカードを見るのも楽しみのひとつで、共感した感想や違う視点での感想が書いてあると、あらためて読み直したくなります。「本のバトンカード」をきっかけにして、本が大好きな方にはもちろん、普段はあまり本を読まないという方にとっても、お気に入りの一冊が見つかるかもしれません。
もし本を借りられてしまっていても、掲示板に貼られている「本のバトンカード」はいつでも見ることができますので、ぜひご覧ください。
普段は無人ですが、1日(ついたち)(土日祝日に重なった場合は翌日)と第3水曜日は、動画を見ながら簡単な体操を実施しています。どなたでも参加できます。お気軽にお立ち寄りください。
■きんじょの本棚まつり『金色の響き』 11.11 開催案内 柏崎響
店主の皆さんこんにちは!きんじょの本棚まつり実行委員の No.111 「ワイルドベリー店」のひびきです!
今回は今週末に迫った、きんじょの本棚まつり『金色の響き』についてのご紹介です!!
きんじょの本棚まつりのタイトルに「響き」とあり、自身の名前と同じで勝手に親近感を覚えている店主です(笑)
さて、今年のきんじょの本棚まつりは、催し物が盛りだくさんの内容になっています!
なんといっても目玉は、「蓄音機」!100年前の音をお堂で聞くことができます!
さらに、お堂の前ではバンド演奏もあります!皆さんの知っている曲が演奏されのるか、ぜひお楽しみに!
そして、今年もアルパカが来てくれます!私はアルパカに会ったことがないので、とても楽しみにしています!!
他にも、お茶の先生が来てくれたり、なんと今年優勝してJ1へ昇格するFC町田ゼルビアのキャラクター、ゼルビー君も来てくれるようです!ひるずかぼう店のコーヒーやTENT成瀬店のわらび餅、そしてそしてスワンさがまち店からは本棚の形をしたきんじょの本棚特製パンなど飲食も揃っています!新しいきんじょの本棚グッズ登場するんですって!もうこれは要チェックです~!
店主の皆さんには、きんじょカードを配布します。そのカードに来場している店主のみんなからサインを集めてください。本棚と店主の顔が一致するゲーム感覚のお楽しみも準備しています。さらに、今年は「音」がテーマ、会場に来られるときは鳴り物を持ってきてください。なんでもいいです!実行委員メンバーではカスタネットを手作りしよう!なんて話ももあって、もうワクワクが止まりませんヨ!!(笑)
きんじょの本棚まつり当日は混雑が予想されますので、感染症対策などもしてお越しください!
当日皆さんに会えるのを楽しみにしています!
これからどんどん寒くなってくるので、体調に気を付けてお過ごしください! ひびき
詳細はこちら↓
■新規登録店
202.vegecafeハナウタ店 [千葉県船橋市]
203.成瀬台公園前店店 [東京都町田市成瀬台]
203.GALLERY->A2店 [東京都目黒区目黒]
■お知らせ
●放送がありました。 10月11日(水) 18:00-19:00
NHK首都圏ネットワーク ちかさとコレクション「本棚がつなぐ“地域の輪”」
●再放送がありました。 10月31日(火) 7:45
おはよう日本『首都圏版』ちかさとコレクション「本棚がつなぐ“地域の輪”」
●きんじょの本棚まつり~金色の響き~
11月11日(土) 11時~15時 町田市野津田薬師堂にて開催決定!!!
※開催にあたり出店者、ボランティアを募集いたします。ご一報ください。
店主皆さんが作る、店主皆さんが主役のお祭りです!
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◆きんじょの本棚通信に投稿参加したい!本棚に絡めてお仕事のPR大歓迎です。
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お気軽に編集部までご連絡下さい。
メルマガ編集部連絡先:mm@kinjonohondana.com
□編集後記
のづたやくしどう店の矢田副住職により、表現の芽をはぐくむ文庫店の福富さんをご紹介いただきました、冒頭から素敵な空間が想像できる描写ではじまり淀みのないインタビュー素晴らしいです。中学生時に狂言に連れていかれ、面白くなかった印象からか来遠い存在にありましたがこのインタビューで興味深々となりました。本棚まつり当日はワークショップに参加したいと思います。
銀の架け橋(昭和⇔未来)店の「本のバトンカード」、これは一見の価値ありですよ!店主のAさんは優しい印象の素敵な方で本当に本が好きなんだなぁ、この仕組みを作りあげる熱意を感じました。
ひびきさーん、行きたい、見たい、食べたいが伝わる~ きんじょの本棚まつりのご紹介ありがとうございました。
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読み逃した方はぜひご一読下さい。(岡)
【きんじょの本棚・メルマガ編集部】
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