世界中の政財界に浸透する世界経済フォーラムのパシリ養成プログラム出身者

この投稿はJacob Nordangard氏の2023年4月2日の記事(下記のリンクを参照)の抄訳です。
誤訳や訳漏れがある可能性がありますので、記事の内容を参考にする場合は必ず下記リンクの英語原文に依拠してください。
また、日本人に伝わりやすいように原文にはない文言や説明を追加している場合がありますので、ご承知おきください。
英語原文:

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世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダーズ」プログラム出身者
 
寄稿者:Jacob Nordangard
Global Research、2023年4月2日
Pharos、2022年2月5日
 
世界経済フォーラムは「ヤング・グローバル・リーダーズ(Young Global Leaders)」プログラムを通じて民主主義のあらゆる原則を蝕む世界秩序の形成に尽力している。数十年にわたり、このプログラムは世界各国の政府で世界経済フォーラムのパシリとして従順に働くリーダーを輩出してきた。その成果は広範囲に及んでおり、人類にとって致命的な結果になるかもしれない。
クラウス・シュワブは次のように述べている。「メルケル独首相やプーチン露大統領も、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズの一員です。でも、いま本当に誇らしいのは、カナダのトルドー首相やアルゼンチン大統領らを通じて私たちが政権中枢に浸透していることです。アルゼンチンもそうですし、フランスもそうです」
動画はこちら 

1992年、クラウス・シュワブ世界経済フォーラムは初めに「グローバル・リーダーズ・オブ・トゥモロー(Global Leaders of Tomorrow)」というプログラムを立ち上げた。そして2004年、このプログラムは「ヤング・グローバル・リーダーズ」へと姿を変え、世界経済フォーラムの思想と目的を吹き込む5年間の教化プログラムとなった。その狙いは、過去も現在も、新たなグローバル社会に適した未来のリーダーを見つけることだ。このプログラムには開始当初から各分野で秀でた40歳未満(もともとはアンゲラ・メルケルを参加させるために43歳未満とされていた)の政治家、ビジネスリーダー、王族、ジャーナリスト、その他のインフルエンサーが参加していた。その後、優れた手腕と影響力を持つ熱心な指導者からなる巨大なグローバルネットワークへと拡大した。その指導者たちは、各国、各分野で世界経済フォーラムのテクノクラシー計画の実行に尽力している。
 
このネットワークはメンバー個人のスキルと手腕を組み合わせることによって世界的な影響力を生み出しており、冒頭の引用でクラウス・シュワブが述べているとおり大きな成功を収めている。1年目の1992年にはすでに、大きな影響力のあるたくさんの候補者が選ばれていた。選出された200人の中には、アンゲラ・メルケルトニー・ブレアニコラ・サルコジビル・ゲイツボノリチャード・ブランソン(Virgin)、ヨルマ・オリラ(Shell Oil)、ジョゼ・マヌエル・バローゾ(2004–2014年 欧州委員会委員長)といった世界的な大物がいた[1]。影響力のあるヤング・グローバル・リーダーズ出身者として、その他にも次の人物があげられる[2]。
 
ヴィクトリア王太子(スウェーデン)
ホーコン王太子(ノルウェー)
フレデリック王太子(デンマーク)
ハイメ・デ・ボルボン=パルマ
王子(オランダ)
レーマ・ビント・バンダー・アル・サウード王女(駐米サウジアラビア大使)
ジャシンダ・アーダーン(ニュージーランド首相)
アレクサンダー・ドゥ=クロー(ベルギー首相)
エマニュエル・マクロン(フランス大統領)
サンナ・マリン(フィンランド首相)
カルロス・アルバラード(コスタリカ大統領)
ファイサル・アル・イブラヒム(サウジアラビア経済企画大臣)
シャウナ・アミナット(モルディブ環境・気候変動・科学技術大臣)
アイダ・オーケン(デンマーク国会議員、元環境大臣、悪名高い記事「Welcome To 2030: I Own Nothing, Have No Privacy And Life Has Never Been Better」の筆者)
アンナレーナ・ベアボック(ドイツ外務大臣、同盟90/緑の党党首)
カミッサ・カマラ(マリ デジタル経済・計画大臣)
ウゲン・ドルジ(ブータン内務大臣)
クリスティア・フリーランド(カナダ副首相、財務大臣)
マルティン・グスマン(アルゼンチン経済大臣)
ムハマド・ハンマード・アズハル(パキスタン エネルギー大臣)
ポーラ・インガビレ(ルワンダICT・イノベーション大臣)
ロナルド・ラモラ(南アフリカ法務・更生大臣)
ビルギッタ・オールソン(2010-2014年スウェーデン欧州連合担当大臣)
モナ・サーリン(2007-2011年スウェーデン社会民主労働党党首)
スタヴ・シャフィール(イスラエル緑の党党首)
ヴェラ・デーブス・デ・ソーサ(アンゴラ財務大臣)
レオナルド・ディカプリオ(俳優、環境活動家)
マティアス・クルム(写真家、環境活動家)
ジャック・マー(アリババ創業者)
ラリー・ペイジ(Google創業者)
リッケン・パテル(Avaaz創設者)
ダヴィド・ド・ロチルド(冒険家、環境活動家)
ジミー・ウェールズ(Wikipedia創設者)
ヤコブ・ワレンバーグ
(Investor会長)
ニクラス・ゼンストローム
(Skype創業者)
マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)

(訳者注:ヤング・グローバル・リーダーズの日本人メンバーはこちら https://www.younggloballeaders.org/community?utf8=%E2%9C%93&q=&status=&class_year=&sector=&region=a0Tb00000000DCPEA2#results 

プログラムの目的は初めから、「公共セクターと民間セクターの交差領域で生じている問題に着目して、未来志向のグローバルな課題を明らかにし、それに対する取り組みを推進すること」だった。官民パートナーシップは世界経済フォーラムの土台の一つだ。つまり、より「効果的」な方法でグローバルな問題を解決することを目的として国と大企業が連携するのだ(コーポラティズム、協調組合主義とも呼ばれる)。リーダーたちの選出には明らかにこの野心が表れている。
ヤング・グローバル・リーダーズは初めに、21世紀の重大な課題を明らかにするよう指示された。そして、近未来のリーダーが2000年以降に政治的、経済的、文化的に利用できる、平和、環境、教育、テクノロジー、健康といった分野がピックアップされた。2000年には、コカ・コーラErnst & YoungフォルクスワーゲンBP Amocoといった巨大グローバル企業がグローバル・リーダーズ・オブ・トゥモローのパートナーとなっていた。これらのパートナーには、「グローバル・リーダーズ・オブ・トゥモロー」プロジェクトのコンセプトを発展させて実行する上で積極的な役割を担い、この計画に貢献することが期待された。そのため、パートナー企業はプログラムの開発に積極的に参加できたほか、その代表者やゲストがミーティングに招かれた。2004年にグローバル・リーダーズ・オブ・トゥモローヤング・グローバル・リーダーズに姿を変えた後も、プログラム出身者を擁するビル&メリンダ・ゲイツ財団GoogleJPモルガン・チェースといったパートナーがスポンサーとして参加した。
官民パートナーシップとターゲット分野の両方で最終的に目指しているのは、個人がこの強大な利権に従属する極めて専制的な社会契約の実現だ。より良い世界を実現するという高尚な目標は失われている。これは特に、世界経済フォーラムと国連がパートナージップを締結していることや、第四次産業革命のテクノロジーを利用してグローバルな指針(アジェンダ2030)を遂行していることから明らかだ。つまり、20世紀の民主主義の原則と権力分立がほぼ完全に弱体化され、自らの利権を土台として全人類共通の未来を築こうとする新たなグローバル階級に取って代わられたのだ。これにより、中央政府や国際機関が事実上民営化され、ロビイストが権力の座につき、私たちの生活に直接影響する政策をつくるようになった。特に2020年3月にパンデミックが宣言されて以降、その結果が表れている。また、世界経済フォーラムのラリー・フィンクがCEOを務めるBlackRockなど、有数のグローバル資産運用会社が絶えず地位を高めてきた。
ドイツ人エコノミスト兼ジャーナリストのエルンスト・ヴォルフによると、近年行われたロックダウンという難しい計画を問答無用で実行する意欲を買われて「ヤング・グローバル・リーダーズ」プログラムに選出された国家首脳がたくさんいる。大衆の不満が高まっているため彼らは近い将来に失敗すると思われるが、その場合にはそれを理由に従来の国家を時代遅れとする新たな形態の世界政府がつくられることとなる。その後、新たな国際デジタル通貨やユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)が徐々に導入され、現在の通貨制度が崩壊する可能性があるという[3]。これは筆者自身の結論と一部一致している。
この考えはポール・ラスキングレート・トランジション・イニシアチブ(Great Transition Initiative)のシナリオでも支持されている。このシナリオは、どのように全体主義の「新地球秩序」が形成され、長い時間をかけてグローバルな民主政府(地球連邦)と世界憲法に置き換わるかを描いたものだ[4]。
 
コロナのパンデミックにより、自国第一主義的な公衆衛生政策の破滅的な失敗が浮き彫りになった。また、気候政策の議論では全世界のニーズではなく自国の経済的利益が重視され続けており、気候を巡る問題は混迷を極めつつある。
三院制の世界議会のもとには地球連邦政府の4つの主要機関がある。世界最高裁判所、世界行政府、世界警察、世界行政監察機関だ[5]。
(Glen T. Martin、「The Great Transition Requires the Earth Constitution」より抜粋)
 
このビジョンは、世界議会、世界政府、世界裁判所からなる世界連邦を創設し、バランスと調和の取れた平和な世界をつくるというものだ。このような考えは長きにわたってローマクラブ(Club of Rome)内で広められており、ニューエイジ団体とも密接につながっている。問題は、そのような新しい世界的な権力システムが現在のシステムのように利権に飲み込まれて腐敗し衰退する運命を辿らないようにするにはどうすればよいかということだ。スティーブン・ロックフェラーから創設資金を得て始まったグレート・トランジションなどのプロジェクトを支持する人たちはその点を考慮し、最終的な解決策としてグローバルなテクノクラート支配体制に人類を取り込む方法を模索している。しかし、この計画が成功する可能性は非常に低い。警戒感が山火事のように急速に広がり、シナリオが崩壊して人々がプロパガンダに動じなくなっているため、エリートたちは慌てている。そのため、調査担当者やいわゆるファクトチェッカーを総動員して懸命にシナリオを守り、自分たちにとって「正しい」方向へ世論を誘導しようとしている。大衆が彼らを信用してしまうのも無理はない。なぜなら、たとえば1993年に選出されたグローバル・リーダーズ・オブ・トゥモローのメンバーにはトムソン・ロイターの会長であるデイヴィッド・トムソンがいるからだ。

私たちは今こそ、自分の運命の手綱を握り、新たな罠を回避しなければならない。

注釈
[1] World Economic Forum, GLT Class of 1993.pdf
[2] World Economic Forum, Young Global Leaders Community (searchable list over YGL alumni)
[3] Michael Lord, “Exposed: Klaus Schwab’s School For Covid Dictators, Plan for ‘Great Reset’“, RAIR Foundation, November 10, 2021
[4] Paul Raskin, Journey to Earthland: The Great Transition to Planetary Civilization.pdf, Tellus Institute, Boston, 2016
[5] Glen T. Martin, The Great Transition Requires the Earth Constitution“, Great Transition Initiative, November 2021

本記事の掲載元はPharosです
Copyright © Jacob Nordangard, Pharos, 2023
 
寄稿者:
Jacob Nordangard


訳者注記
誤訳や訳漏れがある可能性がありますので、記事の内容を参考にする場合は必ず下記リンクの英語原文に依拠してください。
英語原文:https://www.globalresearch.ca/world-economic-forum-young-global-leaders-revealed/5769766


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